質問主意書

第180回国会(常会)

質問主意書


質問第二二号

在日米軍再編計画の見直しに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年二月十三日

浜田 昌良   


       参議院議長 平田 健二 殿



   在日米軍再編計画の見直しに関する質問主意書

 政府は、本年二月八日、在日米軍再編計画の見直しに関する日米共同の基本方針となる「在日米軍再編に関する日米共同報道発表」(以下「共同報道発表」という。)を行った。この共同報道発表では、在沖縄米海兵隊のグアム移転と嘉手納以南の米軍五施設・区域の返還について、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設から切り離すことについて公式な議論を開始した旨を明記している。これは、普天間飛行場移設に対するこれまでの政府の戦略が崩れ去ったことを意味しており、普天間飛行場の固定化への懸念が指摘されている。また、この共同報道発表に至るまで、日本政府は米軍基地を抱える地元への十分な説明がないまま頭越しに米国政府との協議を進めてきており、地元自治体や住民をはじめ国民は政府に対して不信感を深めている。特に、在沖縄米海兵隊のグアム移転に伴う厚木飛行場(神奈川県綾瀬市・大和市)から岩国飛行場(山口県岩国市)への空母艦載機の移駐が、今回の方針変更に伴い影響を受けるのではないかとの地元住民の不安が高まっている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 このような見直しが普天間飛行場の固定化に断じてつながらないことについて、具体的にどのような対策を行うことで地元住民の理解を得ようとしているのか、野田内閣の具体的対応方針を明らかにされたい。

二 平成十八年五月一日付けの「再編実施のための日米のロードマップ」(以下「ロードマップ」という。)では、第三海兵機動展開部隊の要員約八千名とその家族約九千名を沖縄からグアムへ移転することになっている。この度の日米両政府の協議では、約八千人のうち戦闘部隊を中心とする約四千七百人をグアムへ移転させることで大筋合意し、米国政府側は、残りをオーストラリア、フィリピン、ハワイなどに分散させることを構想していると報道(本年二月五日付けの朝日、読売、毎日、産経、日本経済などの各紙)されている。共同報道発表では具体的な内容について全く触れられていないため、今後の方針が明確になっているとは言い難い。報道されているような米軍の分散移転について、日本政府は米国政府から説明を受けたのか、また両国政府は大筋合意に至ったのか、政府の承知する事実関係を明らかにされたい。

三 日米両政府の協議において、米国政府が日本政府に対して沖縄からグアム以外に移る約三千三百人のうち千五百人前後を岩国飛行場に移転、常駐させることを打診していたことが判明したと報道(本年二月七日付けの読売、東京などの各紙)され、地元の懸念が高まっているが、このような打診があったのかどうか、政府の承知する事実関係を明らかにされたい。また、このような見直し案に対する野田内閣の考え方を明らかにされたい。

四 ロードマップによれば、岩国飛行場からグアムへの海兵隊ヘリ八機の移転が計画されており、これを受けて厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機五十九機の移駐が平成二十六年までに完了するとなっている。
 私は、「米軍厚木飛行場空母艦載機の移駐に関する質問主意書」(第百七十四回国会質問第五号)において、普天間基地移設計画が万が一再検討になるとしても厚木飛行場からの当該移駐がロードマップどおり完了することを明確にされたいと質問したのに対して、政府は答弁書(内閣参質一七四第五号。平成二十二年一月二十六日閣議決定)において、「厚木飛行場から岩国飛行場への空母艦載機の移駐については、(中略)ロードマップに従って進めていく考えである。」とした。この度の再編計画の見直しにおいても、厚木飛行場からの空母艦載機の移駐は、平成二十六年までに完了するとのこれまでの方針に変更がないことを野田内閣として明確にされたい。

  右質問する。