質問主意書

第179回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第六二号

内閣参質一七九第六二号
  平成二十三年十二月二十日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員森まさこ君提出酪農業に対する原発事故に係る損害賠償に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員森まさこ君提出酪農業に対する原発事故に係る損害賠償に関する質問に対する答弁書

一について

 福島県酪農業協同組合、全国農業協同組合連合会福島県本部及び小野町地区酪農業協同組合(以下「酪農団体」という。)によると、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故(以下「本件事故」という。)による福島県における酪農業の被害について、JAグループ東京電力原発事故農畜産物損害賠償対策福島県協議会(以下「協議会」という。)を通じて、東京電力に対し、平成二十三年十二月一日までに約七十二億円の賠償請求を行っているとのことである。一方、東京電力によると、このうち同年十一月十五日までに東京電力が協議会から請求を受けている約七十億円について、同月一日までに仮払補償金として約二十三億円を、同月三十日に賠償金の一部として約十五億円を、それぞれ協議会に支払ったとのことであり、その後、いずれも協議会から酪農団体に支払が行われたと承知している。また、東京電力によると、同年十二月二日に本件事故による福島県における酪農以外の分野も含む農業の被害に対する賠償金の一部として約百三十九億円を協議会に支払ったとのことであるが、その支払に関し、協議会から酪農団体に支払が行われたか否かは承知していない。
 請求のうち賠償金の支払が行われていないものについては、今後、東京電力から、審査を経た上で順次、賠償金の支払が行われるものと承知しているが、経済産業省においては、東京電力に対し、資金繰りに窮している等の被害者の実情も十分踏まえて賠償金の支払を行うよう継続的に求めているところであり、引き続き、迅速かつ適切な賠償金の支払を促していく考えである。

二について

 平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律(平成二十三年法律第九十一号)により国が行う仮払金の支払は、先の答弁書(平成二十三年十月十一日内閣参質一七八第三八号)でお答えしたとおり、平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律施行令(平成二十三年政令第二百九十四号)第一条に規定する仮払金対象損害を対象としているところである。
 この仮払金の支払の対象となる損害の範囲は、東京電力による特定原子力損害(同法第二条に規定する特定原子力損害をいう。)の賠償の進捗状況等を勘案し、必要に応じて見直すこととしているが、本件事故による福島県における酪農業の被害については、一についてで述べたとおり、東京電力が賠償金の支払を進めているところであり、政府としては、その状況を注視していく考えである。