質問主意書

第179回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四九号

内閣参質一七九第四九号
  平成二十三年十二月十六日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員浜田昌良君提出朝鮮半島の非核化に関する共同宣言及び第四回六者会合に関する共同声明に矛盾する日韓原子力協定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出朝鮮半島の非核化に関する共同宣言及び第四回六者会合に関する共同声明に矛盾する日韓原子力協定に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「片務的に我が国が同意しない限りこれらの国の管轄内において濃縮・再処理を行うことができない規定」、「同位元素ウラン235の濃縮度二十パーセント未満までは双方とも自由に濃縮・再処理できる規定」及び「その他の規定」がそれぞれ具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、例えば、我が国がアメリカ合衆国との間で締結している原子力協定においては、我が国が大韓民国及びロシア連邦との間でそれぞれ署名している原子力協定と同様に、濃縮(同位元素ウラン二三五の濃縮度が二十パーセント以上のものに限る。)及び再処理を規制する規定が置かれているが、我が国がグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間で締結している原子力協定においては、濃縮及び再処理を規制する規定は置かれていない。

二について

 御指摘の「濃縮・再処理の扱いが、相手国が同意しない限り韓国の管轄内において濃縮・再処理を行うことができない規定」、「同位元素ウラン235の濃縮度二十パーセント未満までは双方とも自由に濃縮・再処理できる規定」及び「その他の規定」がそれぞれ具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、例えば、大韓民国がオーストラリア連邦との間で締結している原子力協定においては、濃縮(同位元素ウラン二三五の濃縮度が二十パーセント以上のものに限る。)及び再処理を規制する規定が置かれているが、大韓民国がグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間で締結している原子力協定においては、濃縮及び再処理を規制する規定は置かれていないと承知している。

三から五までについて

 平成二十二年十二月二十日に署名された原子力の平和的利用における協力のための日本国政府と大韓民国政府との間の協定(以下「本協定」という。)第九条(以下「本規定」という。)については、我が国及び大韓民国がそれぞれ第三国との間で締結している原子力協定において、濃縮(同位元素ウラン二三五の濃縮度が二十パーセント以上のものに限る。)及び再処理を規制する規定が置かれている例があること等を踏まえつつ、濃縮及び再処理を規制する規定の在り方を両国間で検討した結果、本協定に盛り込むこととしたものであり、本規定によって核不拡散の観点から問題が生じるとは考えていない。なお、現在、大韓民国は、ウラン濃縮施設を保有しないとの点を含む原子力政策を有しており、ウランの濃縮を大韓民国が行うことは想定されていない。また、平成十七年の第四回六者会合に関する共同声明(以下「共同声明」という。)は、北朝鮮の核問題に関する基本的文書の一つであり、我が国としても重視しているが、我が国と大韓民国との間の国際法上の権利義務関係を設定する本協定とは別の枠組みであり、本協定の規定に影響されるような性格のものではない。

六について

 本協定は、我が国と大韓民国との間に国際法上の権利義務関係を設定するものであり、当事者ではない北朝鮮に対して何ら権利を与えるものではない。また、北朝鮮は、共同声明において全ての核兵器及び既存の核計画を放棄することを自ら約束し、同旨の義務を国際連合安全保障理事会決議に基づいて負っていることから、核兵器の不拡散に関する条約や国際原子力機関との間の保障措置協定等の国際規範の下で核不拡散と原子力の平和的利用を柱とする原子力政策を推進している大韓民国と同様に扱われるものではないと考える。