質問主意書

第179回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一六号

内閣参質一七九第一六号
  平成二十三年十一月十八日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 藤村 修   


       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員浜田昌良君提出いわゆるマイクロスポットに対する体系的・網羅的対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出いわゆるマイクロスポットに対する体系的・網羅的対応に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 「当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応方針」(平成二十三年十月二十一日内閣府・文部科学省・環境省決定)(以下「本方針」という。)において、周辺より放射線量の高い箇所への対策に関し、地方公共団体や民間団体等に報告をお願いし、除染への支援を行う箇所を「地表から一メートル高さの空間線量率が周辺より毎時一マイクロシーベルト以上高い数値が測定された箇所」としたのは、住民の被ばく線量の低減を効果的かつ効率的に進めるため、優先度が高いところから除染を行う必要があることから、当面の目安を示したものである。
 また、内部被ばくの影響については、例えば、福島県内において学校の校庭を利用した場合の外部被ばく線量及び内部被ばく線量を算定した結果、その内部被ばく線量は、内部外部合わせた全体の被ばく線量の二パーセント程度であることが判明しているところ、本方針の対象は面的な汚染ではなく特定の箇所の汚染であることから、そのような箇所においては、内部被ばくの影響は更に小さいものと考えられる。

二について

 文部科学省が各都道府県に委託して実施している環境放射能水準調査において、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故(以下「本件事故」という。)が発生した平成二十三年三月十一日より前に、地表からの高さ一メートルの一時間当たりの空間線量率を測定した結果によれば、平成十一年度から平成二十年度までの間に、東京都新宿区において、最高値毎時八十ナノグレイ(「環境放射線モニタリング指針」(平成二十年三月原子力安全委員会決定)において、原子力緊急事態の発生時に迅速に行う緊急時モニタリングについては、一ナノグレイを〇・〇〇一マイクロシーベルトに換算することとされている。以下同じ。)、平均値毎時六十二ナノグレイ及び最低値毎時五十ナノグレイ、同都八丈町において、最高値毎時五十ナノグレイ、平均値毎時四十ナノグレイ及び最低値毎時三十ナノグレイ、神奈川県横須賀市において、最高値毎時六十六ナノグレイ、平均値毎時五十八ナノグレイ及び最低値毎時五十一ナノグレイ、同県横浜市旭区において、最高値毎時六十四ナノグレイ、平均値毎時五十七ナノグレイ及び最低値毎時五十三ナノグレイ、同県茅ヶ崎市において、最高値毎時五十九ナノグレイ、平均値毎時五十五ナノグレイ及び最低値毎時五十一ナノグレイ、同県足柄下郡箱根町において、最高値毎時五十七ナノグレイ、平均値毎時五十ナノグレイ及び最低値毎時四十六ナノグレイ、千葉県市原市において、最高値毎時六十八ナノグレイ、平均値毎時五十ナノグレイ及び最低値毎時四十四ナノグレイが観測されている。なお、御指摘の地表からの高さ○・五メートル及び一センチメートルの一時間当たりの空間線量率については、本件事故より前に網羅的に行った調査はない。

四について

 お尋ねの「横浜市のマイクロスポット」の意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省は、財団法人日本分析センターに依頼し、現在、横浜市が平成二十三年十月十四日に堆積物に放射性ストロンチウムの存在が確認されたと公表した箇所において同市により採取された堆積物及びその採取箇所の周辺において同センターにより採取された土壌について、それらに含まれる放射性物質が本件事故によるものか否かを含め、分析を進めているところである。
 また、柏市が同月二十一日に周辺より高い放射線量を確認したと公表した箇所については、本方針に基づき、同省において空間線量率の計測等を実施し、同月二十三日に同省において内閣府及び環境省に対して連絡を行った。現在、同省において、当該箇所の土壌等について、その放射性物質による汚染が本件事故によるものか否かを含め、詳細な調査を進めているところである。
 さらに、本件事故が発生した同年三月十一日より前に日本国内で観測された土壌中の放射性ストロンチウムの放射能濃度については、環境放射能水準調査の結果によれば、平成十一年度から平成二十一年度までの間に、深さ五センチメートルの土壌から、最大で一キログラム当たり三十ベクレルの放射能濃度のストロンチウム九十が検出されている。

五について

 平成二十三年度第三次補正予算においては、放射線量低減対策特別緊急事業費補助金として、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)第三十六条第一項の規定に基づき除染実施計画を定めることとなる地方公共団体が行う除染のための調査、生活圏の除染作業、局所的に高線量を示す地点の除染等の支援のための予算約一千億円を計上している。お尋ねの地方公共団体において使用し、又は民間団体等に貸し出すことも可能なサーベイメータの購入に対する支援についても、この補助金により行うこととしている。