質問主意書

第178回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三二号

内閣参質一七八第三二号
  平成二十三年十月七日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員浜田昌良君提出いわゆるマイクロスポットに対する体系的・網羅的対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出いわゆるマイクロスポットに対する体系的・網羅的対応に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「マイクロスポット」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「周辺より高い値の放射線量が計測される場所」を地方公共団体が計測した結果について、政府として、体系的な情報の集約及びその一元的な公表は行っていない。なお、文部科学省が、放射性降下物による空間線量率の把握等のために各都道府県に一基設置したモニタリングポストにより実施している環境放射能水準調査における空間線量率の測定の結果については、同省として体系的な情報の集約及びその一元的な公表を行っているところである。
 今後については、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号。以下「特別措置法」という。)を踏まえ、必要な措置について検討してまいりたい。

二について

 チェルノブイリ原子力発電所の事故に関する各種報告及び政府が実施している環境放射能の調査から得られた知見により、一般に、大気中に放出された放射性物質は、風によって運ばれて拡散し、降雨などによって降下し、地表に沈着したり、地表に沈着した放射性物質が風雨などによって移動するなどして移行することが知られており、このため、雨水がたまる場所や風の吹きだまり等に放射性物質が局所的に集まりやすいと考えられる。東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に伴い大気中に放出された放射性物質が拡散、降下、沈着及び移行する「メカニズム」については、現在、解明に向けた研究が行われており、今後の重要な研究課題であると考えている。

三について

 福島県以外で、平成二十三年四月以降、毎時〇・一マイクロシーベルト以上の空間線量率が計測された地点は、一についてで述べたモニタリングポストにより実施している空間線量率の測定の結果によれば、茨城県(同年四月一日から五月二十二日まで、同月二十四日及び二十八日、同年六月五日、六日、十一日、十三日及び十四日、同年七月八日、同年八月十九日、同年九月二十一日の各測定値)、山口県(同年四月八日、十五日、十九日、二十三日、二十七日及び三十日、同年五月一日、二十三日及び二十六日から二十八日まで、同年六月一日、七日、八日、十日から十二日まで、十六日、十九日、二十日及び二十七日、同年七月一日、四日、六日、七日、十八日、二十四日、二十九日及び三十日、同年八月一日、五日、十日から十八日まで、二十日から二十三日まで及び三十日、同年九月一日、十四日から十六日まで及び二十日の各測定値)の計二地点、各都道府県が人の生活空間と同じ高さにおける空間線量率の把握等のために一についてで述べたモニタリングポストの近傍においてサーベイメータにより実施している地表からの高さ一メートルの空間線量率の測定の結果によれば、山形県(同年六月十三日、十八日及び十九日、同年七月二日、三日、九日、十日、十七日及び二十三日、同年八月六日、七日、二十七日及び二十八日、同年九月十八日の各測定値)、茨城県(同年六月十六日から七月十八日まで、同月二十二日から二十八日まで、同年八月二日から十九日まで及び二十二日、同年九月十日、十二日から十五日まで及び十八日の各測定値)、栃木県(同年六月十三日、十五日から二十一日まで、二十六日、二十七日及び二十九日、同年七月一日、三日、四日、七日、九日から十三日まで、十六日から十八日まで、二十一日、二十二日、二十四日及び二十五日、同月二十七日から同年八月一日まで、同月三日、五日、十一日、十三日、十五日、十六日、二十日から二十七日まで、二十九日及び三十日、同年九月三日から八日まで、十一日、十三日、十四日、十七日、十九日から二十一日まで、二十四日及び二十六日から二十八日までの各測定値)、群馬県(同年六月十六日及び十九日、同年九月十日及び二十日の各測定値)、埼玉県(同年八月十九日の測定値)、島根県(同年八月二十一日の測定値)、広島県(同年七月一日の測定値)、山口県(同年七月七日の測定値)の計八地点、文部科学省が東京電力株式会社福島第一原子力発電所から半径百キロメートル圏内の約二千二百か所において地表からの高さ一メートルの空間線量率を測定した結果を取りまとめて同年八月十二日に公表した「八月二日公表の「文部科学省による放射線量等分布マップ(線量測定マップ)の作成について」の修正について」においては、宮城県で二百九十一地点、茨城県で九十七地点、栃木県で二十七地点、山形県で五地点となっている。なお、地点数で示すことはできないが、文部科学省が航空機を用いて実施した地表からの高さ一メートルの空間線量率の測定においては、同年九月三十日までに公表した測定結果によれば、宮城県で二十四市町、栃木県で十七市町、茨城県で四十二市町村、山形県で三十一市町村、群馬県で三十四市町村、千葉県で四十八市町、埼玉県で三十三市町村、岩手県で二市町、新潟県で二市町において、毎時〇・一マイクロシーベルト以上の空間線量率が測定された。
 また、農林水産省が同年八月三十日に公表した「農地土壌の放射性物質濃度分布図の作成について」によれば、福島県以外で測定が行われた宮城県、栃木県、群馬県、茨城県及び千葉県の全てにおいて、同年四月以降、土壌中のセシウム一三四及びセシウム一三七について乾土一キログラム当たり八千ベクレル以上が測定された地点はなかった。

四について

 お尋ねの「類型別分布」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、平成二十三年七月十五日に原子力災害対策本部が公表した「福島県内(警戒区域及び計画的避難区域を除く)における生活圏の清掃活動(除染)に関する基本的な考え方」において、清掃活動(除染)に関する実証実験及びモデルによる評価を行っており、放射性物質が集積しやすい場所について、「各家庭の雨樋や道路の側溝等、雨水の集中する箇所に集積している土砂、汚泥等において、周囲より線量が高い生活環境中の特定線源が確認された」と示しているところである。

五及び六について

 「周辺より高い値の放射線量が計測される場所」を含む放射性物質による環境の汚染については、現在、「除染に関する緊急実施基本方針」(平成二十三年八月二十六日原子力災害対策本部決定)に基づいて対処しているところであるが、特別措置法に基づく除染の枠組みが整い次第、順次移行することとしている。平成二十三年度第三次補正予算においても、平成二十三年度東日本大震災復旧・復興予備費や平成二十三年度第二次補正予算に引き続き、地方公共団体による除染活動等の支援に係る予算措置を検討しているところである。