質問主意書

第178回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二二号

東京電力福島第一原子力発電所事故についての菅前内閣総理大臣の離任後の新聞各紙における発言に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年九月二十八日

浜田 昌良   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   東京電力福島第一原子力発電所事故についての菅前内閣総理大臣の離任後の新聞各紙における発言に関する質問主意書

 菅前内閣総理大臣は八月三十日の内閣総辞職後、新聞各紙に対し、東京電力福島第一原子力発電所事故の発生直後の状況についてのコメントを、「インタビュー」という形で公表している。これまでの国会答弁では明らかにしてこなかった点を、事実関係が確認されない「インタビュー」という形で一方的に公表することに、多くの国民は疑問を抱いている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 三月十五日午前三時頃、海江田前経済産業大臣から菅前内閣総理大臣に対して、東京電力が福島第一原子力発電所から撤退したい意向を示しているという報告があったことが、多くの新聞で公表されている。一方、九月九日付け東京新聞によれば、東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は、「撤退を申し上げた事実はない。七十人程度が事故対応のために残り、それ以外は(対応拠点の)『Jヴィレッジ』や福島第二原発に退避することを考えていた」と説明したとある。野田内閣は、本件に関する事実関係をどのように認識しているのか。どちらの話が正しいのか、国民の重大な疑問に対し、明確に示されたい。

二 九月十九日付け福島地元紙掲載の共同通信インタビューによれば、当時、最悪の場合、半径二百から二百五十キロメートル、対象三千万人の避難を一時想定したとある。野田内閣は、本件に関する事実関係をどのように認識しているのか。当該報道が事実であるとすれば、何故そのことを国民に公表しなかったのか。野田内閣は、事実を公表しなかったことを適切な対応であったと評価しているのか、国民の重大な疑問に対し、明確に示されたい。

三 九月六日付け朝日新聞によれば、「保安院が事故直後に言ったことは、ほとんど後になって変わっている」と菅前内閣総理大臣が述べているが、具体的にどのような点について説明が変わったのか。野田内閣が認識しているところを、すべて具体的に明らかにされたい。また、野田内閣は、このような変化により、結果として国民に間違った説明をしてしまったことはないと断言できるのか、見解を示されたい。

四 前記三の新聞には、「浜岡原発停止は海江田大臣から提案があったもので、私が検討を指示したものではない」との菅前内閣総理大臣の発言が掲載されている。野田内閣は、本件に関する事実関係をどのように認識しているのか。国民の重大な疑問に対し、明確に示されたい。

五 野田内閣は、このような菅前内閣総理大臣による一方的な「情報の公開」をどのように評価するのか。事実関係が明確でない点をマスコミに公表する前に、国会の場で事実関係を明確にすることが、政府・与党の果たすべき役割と考えるが、野田内閣の見解を明らかにされたい。

六 菅前内閣が設置した「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」(以下「畑村委員会」という。)において、九月二十二日時点で二百名を超える関係者からヒアリングを実施し、東京電力福島第一原子力発電所の吉田所長はこれまで四回、延べ約十九時間にわたり、ヒアリングに応じたと認識している。一方、菅前内閣総理大臣、枝野前内閣官房長官、海江田前経済産業大臣など、事故対応に関わった当時の閣僚はヒアリングに応じているのか。ヒアリングを要請していない又は応じていない場合、それぞれその理由を明らかにされたい。

七 政府は国会の場で事実関係を明らかにすると同時に、畑村委員会において菅前内閣総理大臣自身をヒアリングすべきと考えるが、野田内閣の見解を明らかにされたい。

  右質問する。