質問主意書

第178回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一八号

東京電力株式会社による補償金の支払等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年九月十六日

荒井 広幸   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   東京電力株式会社による補償金の支払等に関する質問主意書

 東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)は、平成二十三年八月三十日、福島第一、第二原子力発電所事故に係る主な損害項目における「補償の具体的な算定基準」(以下「算定基準」という。)を公表した。算定基準は、文部科学省に設置された原子力損害賠償紛争審査会(以下「紛争審査会」という。)が策定した「東京電力株式会社福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」(平成二十三年八月五日)(以下「中間指針」という。)に示された損害類型に基づいて作られたものである。
 しかし、中間指針では、政府等の指示に基づかない自主避難者は賠償の対象外とされていること、賠償金の額も被害者の置かれた状況を十分に反映されていないこと等、検討すべき課題が残されている。
 今後、東京電力は、確定した損害に対する本格的な賠償を進めていくこととなるが、長期の避難を余儀なくされ、住み慣れた故郷にいつ帰れるか見通しが立たないまま、今なお厳しい環境下で避難生活を送っている被害者の立場に立った賠償が強く求められている。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 紛争審査会による中間指針において、「今後、本件事故の収束、避難区域等の見直し等の状況の変化に伴い、必要に応じて改めて指針で示すべき事項について検討する」と明記されているが、どのような項目を、どのような時期に検討することが見込まれているのか、明らかにされたい。

二 既に、東京電力から被害者に宛て「補償金ご請求のご案内」と題する文書が送付されているが、補償金を受け取る前に提出する合意書には、「上記金額の受領以降は、上記算定明細書記載の各金額及び本合意書記載の各金額について、一切の異議・追加の請求を申し立てることはありません」と書かれている。今後、紛争審査会において、賠償すべき事項の追加など中間指針の見直しが行われた場合、被害者が提出した合意書の効力はどうなるか、明らかにされたい。

三 被害者個人の時間・労力に限界があることを考えると、追加的請求の放棄を求める前記合意書の文言は問題である。福島第一、第二原子力発電所事故被害の広範・多岐な性質を踏まえ、国として、同一の補償対象期間についても、追加の補償金請求を可能とするよう指導を行う考えはないか、政府の見解を示されたい。

四 事故が収束していない以上、東京電力が賠償すべき範囲は現時点では流動的であり、今後、紛争審査会により中間指針の見直しが行われた場合、合意書の有無にかかわらず、東京電力が当然賠償すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。