質問主意書

第178回国会(臨時会)

質問主意書


質問第七号

八重山教科書採択問題及び教科用図書の採択に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年九月十四日

糸数 慶子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   八重山教科書採択問題及び教科用図書の採択に関する質問主意書

 沖縄県の石垣市、竹富町及び与那国町の三教育委員会で構成する教科用図書八重山採択地区協議会(以下「地区協議会」という。)は本年八月、二〇一二年度以降に使用する中学校社会科教科書の選定を行い、三教育委員会に答申した。この答申に対し、竹富町教育委員会は、他の教科書を採択し、地区協議会と竹富町教育委員会の教科用図書の採択をめぐる見解の相違から混乱が生じた。この事態を重くみた八重山地区教育委員協会は、沖縄県教育委員会の指導の下、九月八日に臨時総会を開き、地区協議会が選定、答申した教科用図書を賛成多数で不採択とし、竹富町教育委員会が採択した教科用図書を賛成多数で採択した。沖縄県教育委員会は、八重山地区教育委員協会の全員協議による採決を有効とみなし、地区内で種目ごとに同一教科書の採択を求める義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(以下「無償措置法」という。)に基づき文部科学省に報告を行った。この教科用図書の採択に関し、中川正春文部科学相は九月十三日の閣議後会見で「協議は整っていない」と述べ、八重山地区教育委員協会の全員協議による採択は不成立との認識を示した。中川文科相の認識は、八重山地区での教科用図書の採択問題が地域住民や教育関係者を巻き込み、深刻な事態に陥っていたにもかかわらず、採択に関する有効性や方向性も示せなかった文部科学省の責任を沖縄県教育委員会や八重山地区教育委員協会等に転嫁するもので、混乱に拍車をかける事態を招いている。事ここに至っての中川文科相の発言は許し難く、その発言を容認する文部科学省の見解は極めて問題である。よって、以下、質問する。

一 地区協議会の教科用図書の選定と、それに伴う市町教育委員会への答申は、教科用図書の採択において、どのような権限を有するのか、法的根拠を基に、政府の見解を示されたい。

二 地区協議会の教科用図書の選定・答申と、市町教育委員会が採択する教科用図書は、どちらが法的に有効かつ優先されるべきか、政府の見解を示されたい。

三 八重山地区教育委員協会の臨時総会における全員協議による教科用図書の採択の有効性または無効性について法的根拠を基に、政府の見解を示されたい。

四 文部科学省は、八重山地区における教科用図書の採択問題に関し、いつの時点で認識し、沖縄県教育委員会や石垣市、竹富町及び与那国町の各教育委員会に対し、どのような指導及び助言等を行ったのか、政府の対応を明らかにされたい。

五 中川文科相は、八重山地区教育委員協会の全員協議による教科用図書の採択を無効としているが、それならば、どのような法的手続きや協議において収拾を図るのか、政府の対応の方向性を示されたい。

六 八重山地区教育委員協会の教科用図書の採択に関する役割及び権限について、政府の見解を示されたい。

七 一般的に教科用図書の採択権は市町村教育委員会が有しているが、無償措置法の下、地区内で同一の教科用図書が採択されず、各教育委員会の意見が分かれ、最終的に合意に至らなかった場合、どのような措置が取られるのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。