質問主意書

第178回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二号

循環型社会形成における家庭生ごみなど食品廃棄物の資源化推進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年九月十三日

加藤 修一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   循環型社会形成における家庭生ごみなど食品廃棄物の資源化推進に関する質問主意書

 食品から出る生ごみなどの再資源化を目指して制定された食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)が施行されて十年になるが、家庭系及び事業系トータルのリサイクル率は三十パーセント弱と、依然として進んでいないのが現状である。
 原料の不要部分など食品メーカーから出る産業廃棄物や、売れ残りや調理くず、食べ残しなど流通業、外食産業などから出る事業系一般廃棄物など、同法の対象となる食品廃棄物のリサイクル率は約五十パーセントであるのに対し、同法の対象外となっている家庭から排出される調理くず、食べ残しなどのリサイクル率は僅か約六パーセントと極めて低調である。
 その原因は、年間百トン以上の廃棄物を出す事業者には報告を義務付け、罰則もあるが、小規模事業所には報告義務も罰則もない点にあると思われる。また、事業系一般廃棄物は家庭ごみと同様、自治体が処理するため、その手数料は安く、焼却処理が主流である。さらに、収集事業の越境を認めない例が多いため、リサイクル率も向上していないのが実態である。
 そこで、以下質問する。

一 食品廃棄物のバイオガス化等について

 水分が多い生ごみの焼却は、エネルギーを多く消費し、CO2を大量に排出し、さらに、生ごみ、紙、プラスチック等の混焼による弊害も多々指摘されているところである。
 国が目指す持続可能な循環型社会実現と地球温暖化防止の観点からも、混焼によって生じる環境負荷を軽減するとともに、限りある資源を大切にするためには、食品廃棄物のバイオガス化によるメタンや水素などの熱源としての再利用及び発酵残渣のたい肥化等による資源の循環利用システムを構築する必要があると考えるが、見解如何。

二 食品廃棄物の有機資源化を促進するためのロードマップの策定について

 家庭の生ごみは、同法の対象となっていないため、その九十四パーセント以上が焼却されているのが現状である。生ごみ等の食品廃棄物は、多様な微量元素を含有する貴重な有機資源であり、健康な作物を作り、国民の健康につながる食の安心安全の基本である。
 そこで国は、食品廃棄物の有機資源化を推進するための調査研究の強化、小規模事業者や家庭から排出される食品廃棄物の資源化率・減量化率のロードマップを策定すべきと考えるが、見解如何。

三 食品廃棄物によるバイオガス発電等へのインセンティブの強化について

 再生可能エネルギー固定価格買取法の施行は、食品廃棄物によるバイオガス発電等を推進する上で強力な追い風になるものと思われる。
 そこで、地方自治体においても、事業系・家庭系生ごみの資源化・減量化のロードマップを策定するとともに、毎年その進捗状況を公表してはどうかと考えるが、政府の見解如何。また、国としても地方自治体の資源化・減量化を促進するための助成措置の強化など、何らかのインセンティブが働くような施策を考えるべきと思うが、見解如何。

四 地域に賦存するバイオマスの実態調査とその資源化計画について

 地域に賦存するバイオマスの実態調査とその資源化計画を作り、地産地消の循環の輪づくりの推進と地域コミュニティの活性化にいかすべきと考えるが、見解如何。

五 生態系循環と社会教育、学校教育について

 「生態系循環に在る人」としての節度と責任を国民全てが自覚するため、生態系及び微生物の基礎知識を、社会教育及び学校教育カリキュラムの中に取り入れるよう配慮することが、持続可能な社会の構築にとっても、国連持続可能な開発のための教育の十年(UNDESD)にとっても重要と考えるが、見解如何。

六 UNDESDについて

 公明党が熱心に取り組んできているUNDESDの最終年は二〇一四年である。環境教育推進法の改正内容にも関わってくるものであるが、最終年に向けて、その成果を吟味するとともに、UNDESDをより一層定着させるために、ロードマップが必要と思われるが、見解如何。

七 UNDESDとユネスコ・スクールの積極的な国内的融合について

 ユネスコ・スクールは、一九五三年、ASPnetとして、ユネスコ憲章の理念を学校現場で実践するため、国際理解教育の実験的な試みを行う共同体として発足し、二〇一三年には六十周年を迎える。現在、世界百八十か国で約九千校がASPnetに加盟し、日本国内では、二〇一一年一月現在、二百七十九校の幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び教員養成系大学が参加し、グローバルなネットワークを活用し、世界中の学校と交流し、地球規模の諸問題に対処できる新しい教育を目指している。ユネスコ・スクールの活動や目指す方向は、UNDESDと共有できるものであり、二〇一三年の六十周年と二〇一四年のUNDESDの最終年を調整してUNDESDを進めるべきである。また、同時に、ユネスコ・スクール登録数を拡大すべきである。このことがUNDESDの普及にも大きく貢献すると考えられるが、見解如何。

  右質問する。