質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第二六九号

内閣参質一七七第二六九号
  平成二十三年九月二日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員森まさこ君提出福島県会津地方集中豪雨の際のダムの放水操作に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員森まさこ君提出福島県会津地方集中豪雨の際のダムの放水操作に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の田子倉ダム、奥只見ダム及び只見ダムは、電源開発株式会社(以下「電源開発」という。)が管理しており、電源開発からの報告により現時点で把握している限りでは、御指摘の集中豪雨に先立ち、気象庁福島地方気象台(以下「気象台」という。)より福島県会津南部に対して洪水注意報が発表される直前の平成二十三年七月二十七日正午時点の田子倉ダム、奥只見ダム及び只見ダムの水位は、それぞれ、五百二・一三メートル、七百四十六・九四メートル及び三百八十九・七〇メートルであった。
 また、お尋ねの田子倉ダム、奥只見ダム及び只見ダムの平成二十年七月、平成二十一年七月及び平成二十二年七月の平均的な水位については、当該月の毎日午前九時時点の水位を平均して算出したところ、それぞれ次のとおりである。
 田子倉ダム 五百四・八八メートル 五百四・八七メートル 五百四・七二メートル
 奥只見ダム 七百四十八・六〇メートル 七百四十七・七六メートル 七百四十七・六七メートル
 只見ダム 三百八十九・四三メートル 三百八十九・四五メートル 三百八十九・三六メートル

二について

 経済産業省が、電源開発に対し、お尋ねの指示又は要請をした事実はない。また、東京電力株式会社が、電源開発に対し、お尋ねの指示又は要請をした事実はないと承知している。

三について

 お尋ねについては、電源開発からの報告により現時点で把握している限りでは、次のとおりである。
 田子倉ダムについては、平成二十三年七月二十八日午後九時十五分から田子倉ダム操作規程第二十一条に規定されている「洪水警戒時における措置」をとった。この措置をとる直前の同日午後九時時点の流入量は毎秒五百二十四立方メートル、放流量は毎秒三立方メートルであった。同日午後九時二十分、同規程第二十条第四号に規定されている通報を、国土交通省北陸地方整備局長及び福島県知事(以下「局長及び知事」という。)に対して行った。同日午後十時三十分から同規程第二十二条に規定されている「洪水時における措置」をとった。その時点の流入量は毎秒九百四十五立方メートルであり、放流量は毎秒三立方メートルであった。同月二十九日午前零時三十分から、同規程第二十三条に規定されている「洪水処理時における措置」をとった。その時点の流入量は毎秒七百二十九立方メートルであり、放流量は毎秒百四十九立方メートルであった。同日午後一時から同規程第二十二条に規定されている「洪水時における措置」をとった。その時点の流入量は毎秒千二百九立方メートルであり、放流量は毎秒二百九十七立方メートルであった。同日午後一時三十分、同規程第十四条に規定されている「放流の際の関係機関に対する通知」を行い、同日午後二時十九分、同規程第十五条に規定されている「放流の際の一般に周知させるための措置」をとった。同日午後二時三十分からダムの洪水吐ゲートを開く操作を行い、それに伴い同規程第十六条に規定されている「ダムの操作に関する記録の作成」を開始した。その時点の流入量は毎秒千二百六十四立方メートルであり、放流量は毎秒二百九十二立方メートルであった。同月三十日午前九時十分から洪水警戒時を解除した同年八月二日午前九時にかけ、同規程第二十三条に規定されている「洪水処理時における措置」をとった。当該措置を開始した同年七月三十日午前九時十分時点の流入量及び放流量はそれぞれ毎秒八百九十三立方メートルであり、当該措置を終了した同年八月二日午前九時時点の流入量は毎秒百五十四立方メートル、放流量は毎秒三百十六立方メートルであった。
 奧只見ダムについては、同年七月二十八日午前七時三十分から、奧只見ダム操作規程第二十一条に規定されている「洪水警戒時における措置」をとった。その時点の流入量は毎秒百二十六立方メートルであり、放流量は毎秒三立方メートルであった。同日午前七時五十三分、同規程第二十条第四号に規定されている通報を、局長及び知事に対して行った。同日午前八時から同規程第二十二条に規定されている「洪水時における措置」をとった。その時点の流入量は毎秒五百二十八立方メートルであり、放流量は毎秒三立方メートルであった。同日午前九時から同規程第二十三条に規定されている「洪水処理時における措置」をとった。その時点の流入量は毎秒四百三十六立方メートルであり、放流量は毎秒三立方メートルであった。同日午後五時から同規程第二十二条に規定されている「洪水時における措置」をとった。その時点の流入量は毎秒六百二十四立方メートルであり、放流量は毎秒三百十二立方メートルであった。同日午後六時から同規程第二十三条に規定されている「洪水処理時における措置」をとった。その時点の流入量は毎秒四百八十六立方メートルであり、放流量は毎秒百十一立方メートルであった。同日午後九時から同規程第二十二条に規定されている「洪水時における措置」をとった。その時点の流入量は毎秒八百五立方メートルであり、放流量は毎秒二百四十立方メートルであった。同月二十九日午前零時から同規程第二十三条に規定されている「洪水処理時における措置」をとった。その時点の流入量は毎秒四百七十立方メートルであり、放流量は毎秒三百四十四立方メートルであった。同日午後六時十分、同規程第十四条に規定されている「放流の際の関係機関に対する通知」を行った。同日午後七時から同規程第二十二条に規定されている「洪水時における措置」をとった。その時点の流入量は毎秒七百五十八立方メートルであり、放流量は毎秒三百四十七立方メートルであった。同日午後七時五十分、同規程第十五条に規定されている「放流の際の一般に周知させるための措置」をとった。同日午後八時からダムの洪水吐ゲートを開く操作を行い、それに伴い同規程第十六条に規定されている「ダムの操作に関する記録の作成」を開始した。その時点の流入量は毎秒七百二十四立方メートルであり、放流量は毎秒三百四十四立方メートルであった。同月三十日午前十一時三十分から洪水警戒時を解除した同年八月四日午前十時にかけ、同規程第二十三条に規定されている「洪水処理時における措置」をとった。当該措置を開始した同年七月三十日午前十一時三十分時点の流入量及び放流量はそれぞれ毎秒四百九十立方メートルであり、当該措置を終了した同年八月四日午前十時時点の流入量は毎秒四十八立方メートル、放流量は毎秒九十八立方メートルであった。
 只見ダムについては、同年七月二十八日午後九時十五分から只見ダム操作規程第二十一条に規定されている「洪水警戒時における措置」をとった。この措置をとる直前の同日午後九時時点の流入量は毎秒十八立方メートルであり、放流量は毎秒七十五立方メートルであった。同日午後九時二十分、同規程第二十条第四号に規定されている通報を、局長及び知事に対して行った。同月二十九日午後零時二分、同規程第十四条に規定されている「放流の際の関係機関に対する通知」を行った。同日午後零時三十五分、同規程第十五条に規定されている「放流の際の一般に周知させるための措置」をとるとともに、ダムの洪水吐ゲートを開く操作を行い、それに伴い同規程第十六条に規定されている「ダムの操作に関する記録の作成」を開始した。その時点の流入量は毎秒五百二十立方メートルであり、放流量は毎秒三百二十二立方メートルであった。同日午後六時五分から同規程第二十二条に規定されている「洪水時における措置」をとった。その時点の流入量は毎秒千三十三立方メートルであり、放流量は毎秒九百六十三立方メートルであった。同月三十日午前九時十五分から洪水警戒時を解除した同年八月十三日午後一時二十分にかけ、同規程第二十三条に規定されている「洪水処理時における措置」をとった。当該措置を開始した同年七月三十日午前九時十五分時点の流入量及び放流量はそれぞれ毎秒九百七十立方メートルであり、当該措置を終了した同年八月十三日午後一時二十分時点の流入量は毎秒九十立方メートル、放流量は毎秒九十五立方メートルであった。

四について

 お尋ねについては、電源開発からの報告により現時点で把握している限りでは、次のとおりである。
 田子倉ダムにおいては、田子倉ダム操作規程第十五条に規定されている「放流の際の一般に周知させるための措置」として、サイレンによる警告(以下「サイレン警告」という。)及び警報車の拡声器による警告(以下「警報車警告」という。)を行った。サイレン警告については、平成二十三年七月二十九日午後二時十九分から一回実施し、警報車警告については、同日午後二時十八分から、只見川の同ダム地点から只見調整池末端までの間において行った。
 奧只見ダムにおいては、奧只見ダム操作規程第十五条に規定されている「放流の際の一般に周知させるための措置」として、同日午後七時五十分からサイレン警告を一回行った。なお、同条に規定されている警報車警告については、只見川の同ダム地点から奥只見発電所放水口地点までの間において、道路が不通であったため、行わなかった。
 只見ダムにおいては、只見ダム操作規程第十五条に規定されている「放流の際の一般に周知させるための措置」として、同日午後零時三十五分から、サイレン警告を一回行うとともに、只見川の同ダム地点から滝調整池末端までの間において警報車警告を行った。

五について

 平成二十三年七月二十七日から同月三十日までの間に気象台が福島県会津を対象として発表した天気予報、気象に関する警報及び注意報等の発表時刻並びにその内容については、現在、気象台のホームページに掲載しているところである。

六について

 田子倉ダム及び奥只見ダムにおいては、これらのダムの操作規程に、洪水警戒時において貯水位の水位を低下させるための放流を行う規定はなく、電源開発からの報告によれば、このような放流を行わなかったとのことである。
 只見ダムにおいては、同ダムの操作規程に、洪水警戒時において貯水位の水位を低下させるための放流を行う規定があり、電源開発からの報告によれば、当該規定に従いこのような放流を行ったとのことである。

七について

 田子倉ダム、奥只見ダム及び只見ダムは、電源開発が管理する発電のみを目的とするダムであり、これらのダムの下流域における洪水調節を目的として設置されたものではない。このため、これらのダムは、洪水調節を行う機能を有しておらず、これらのダムの操作規程には、洪水調節の観点から放流量を調節するための規定は定められていない。
 なお、これらのダムの操作規程には、洪水時における放流量が、流入量を上回ることがないよう、規定が定められている。