質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第二六五号

内閣参質一七七第二六五号
  平成二十三年八月三十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員加藤修一君提出核兵器廃絶に向けた我が国の取組に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出核兵器廃絶に向けた我が国の取組に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 唯一の戦争被爆国として核兵器使用による惨禍を二度と繰り返してはならないと考え、平和で安全な核兵器のない世界を目指し、核軍縮に向けた現実的かつ着実な取組を粘り強く行ってきており、今後ともこのような取組を行うことによって、国際社会において主導的な役割を果たしていく考えである。

一の3及び4について

 核兵器使用の惨禍の実相を広く国際社会に伝え、将来の世代に引き継いでいくことは重要であると考えており、御指摘のような情報通信技術の活用を含め、様々な取組を進めて行くことは有益であると考える。

二及び三の4について

 一般に、環境、貧困削減等の幅広い分野に関し、我が国が有する技術、知見等を活用した取組を進めることは、国際社会において我が国が主導的な役割を果たすことにつながるものであり、ひいては国際会議の我が国への開催誘致にも資するものであると考える。
 核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号)の運用検討会議の我が国への開催誘致については、これまでの会議開催地の実績、開催地決定の手続等に留意する必要があると考える。

三の1について

 我が国は、テロ、災害、感染症、貧困等、人間に対する直接的な脅威に対処するため、個々の人間の保護と能力強化を重視する「人間の安全保障」の考え方を推進しており、この考え方を「政府開発援助大綱」(平成十五年八月二十九日閣議決定)の基本方針の一つとして掲げ、その実践に努めている。
 また、「人間の安全保障」に関し初めてとなる平成二十二年の国際連合総会決議第二百九十一号の採択を働きかけるなど、国際社会における「人間の安全保障」の考え方の普及に主導的な役割を果たしている。
 今後とも、これらの取組により、国際社会における「人間の安全保障」の考え方の推進に貢献していく考えである。

三の2について

 お尋ねの「対話」の意味するところが必ずしも明らかではないが、外交ルートを通じた国際社会との意思疎通を積極的に図っているほか、外務省において、二国間のものとして新日中友好二十一世紀委員会、地域レベルのものとして日・アフリカ交流フォーラム、地球規模の課題に関するものとして人間の安全保障シンポジウム等、様々な国際的取組に対し資金を拠出し、又は参加しているところである。
 国際社会における文化交流については、外務省において、在外公館を通じた日本文化の紹介及び相手国の文化及び高等教育の振興、良好な対日感情の醸成等のための文化無償資金協力を実施しているほか、独立行政法人国際交流基金において、海外における日本語普及事業、日本研究・知的交流事業、文化芸術交流事業等を実施している。
 国際社会における青少年交流については、国際的な相互理解の促進、友好親善の発展、良好な対日感情の形成等の観点から重要であると考えている。このため、外務省において、東アジアを中心とする各国の青少年との交流を行う二十一世紀東アジア青少年大交流計画等を実施している。また、内閣府において、世界各国の青年との交流を行う青年国際交流事業を実施している。

三の3について

 青少年の海外における体験は、国際的に活躍できる人材を育成する上で重要であることから、高校生及び大学生の海外留学等について、引き続き支援に努めていく考えである。

四及び五について

 核兵器廃絶を求める宣言等を行った市町村(特別区を含む。)の数は、平成二十三年八月一日現在、千四百九十八であると承知しており、これまで着実に増加してきていると認識している。
 御指摘のような署名運動を含めた市町村等の取組は、核兵器廃絶に向けた機運を維持し、強化していく上で重要であると認識しており、今後とも市町村等と協力しつつ、核兵器廃絶に向けた取組を進めていく考えである。