質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第二三八号

内閣参質一七七第二三八号
  平成二十三年八月十二日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員川田龍平君提出医薬部外品及び化粧品に係る副作用報告に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出医薬部外品及び化粧品に係る副作用報告に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねの小麦加水分解物に係る副作用についての学会等からの文献が、学会等が発行している学術雑誌に掲載された論文であるとすれば、平成二十三年八月五日現在で厚生労働省が把握している限りでは、平成十八年四月発行の「European Annals of Allergy and Clinical Immunology」第三十八巻第四号に掲載された論文「RISK OF ALLERGY TO FOOD PROTEINS IN TOPICAL MEDICINAL AGENTS AND COSMETICS」、同年五月に発行された「Contact Dermatitis」第五十四巻第五号に掲載された論文「Hydrolysed wheat proteins present in cosmetics can induce immediate hypersensitivities」、平成十九年八月発行の「Allergy」第六十二巻第八号に掲載された論文「Genetic differences in omega-gliadins involved in two different immediate food hypersensitivities to wheat」、平成二十二年三月二日に電子版が公表された同年四月十四日発行の「JOURNAL OF AGRICULTURAL AND FOOD CHEMISTRY」第五十八巻第七号に掲載された論文「High Molecular Weight Entities in Industrial Wheat Protein Hydrolysates Are Immunoreactive with IgE from Allergic Patients」、同年十一月十五日発行の「日本臨床皮膚科医会雑誌」第二十七巻第六号に掲載された論文「「お茶石鹸」による感作が原因と考えられる蕁麻疹の二例」、同月二十日発行の「日本皮膚科学会雑誌」第百二十巻第十二号に掲載された論文「石鹸中の加水分解小麦で感作され小麦依存性運動誘発アナフィラキシーを発症したと思われる三例」及び同日に電子版が公表された平成二十三年二月発行の「THE JOURNAL OF Allergy AND Clinical Immunology」第百二十七巻第二号に掲載された論文「Rhinoconjunctival sensitization to hydrolyzed wheat protein in facial soap can induce wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis」がある。
 これらの論文のうち、「日本臨床皮膚科医会雑誌」に掲載されたものにおいて、御指摘の「茶のしずく石鹸」について言及がなされている。
 なお、厚生労働省においては、医薬品・医療機器等安全性情報報告制度により、医師、薬剤師等の医薬関係者に対し、医薬部外品及び化粧品についても、それらの使用による健康被害の報告に関し協力を求めており、この制度により、論文以外の情報として、小麦加水分解物による健康被害を疑う最初の報告を平成二十二年九月十六日に受けている。

三について

 お尋ねの「茶のしずく石鹸」の製造販売業者のうち、株式会社悠香から薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第七十七条の四の二第一項及び薬事法施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号)第二百五十三条第三項の規定に基づく報告があったのは、平成二十三年八月五日までに、同年三月三十一日、同年六月二日、同月十五日、同月二十七日、同年七月六日、同月十九日及び同年八月三日の七回である。

四について

 御指摘については、医薬部外品及び化粧品は、人体に対する作用が緩和なものであることから、薬事法第七十七条の四の二第一項及び薬事法施行規則第二百五十三条第三項の規定により、医薬部外品又は化粧品の製造販売業者等に対し、死亡若しくは障害又はこれらにつながるおそれのある症例や、入院又は入院期間の延長が必要とされる症例等の重篤な健康被害が生じた場合に限らず、有害な作用が発生するおそれがあることを示す研究報告を知ったときは、三十日以内に厚生労働大臣に報告することを義務付けているところであり、これらの製造販売業者等に対し、報告の徹底を指導してまいりたい。
 また、医薬部外品又は化粧品の使用により重篤な健康被害が生じた場合には、医療機関を受診すると考えられることから、一及び二についてで述べた医薬品・医療機器等安全性情報報告制度により、迅速な報告が行われるよう、引き続き、医薬関係者に対して協力を求めてまいりたい。