質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第二三〇号

内閣参質一七七第二三〇号
  平成二十三年七月二十六日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員熊谷大君提出内閣総理大臣の選出と国民主権、憲法第十五条第一項との関係に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員熊谷大君提出内閣総理大臣の選出と国民主権、憲法第十五条第一項との関係に関する再質問に対する答弁書

一について

 最高裁判所は、政党について、昭和四十五年六月二十四日の大法廷判決において、「政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素」であり、「同時に、政党は国民の政治意思を形成する最も有力な媒体である」と述べており、政府も同様に考えているところである。
 なお、政党助成法(平成六年法律第五号)は、議会制民主政治における政党の機能の重要性に鑑み、国が政党に対する助成を行う制度を創設することとし、これにより政党の政治活動の健全な発達を促進するとともに、その公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することが必要であるとして、政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)は、民主政治の健全な発達に寄与するため、政党等及び公職の候補者等の政治活動の公明を図り選挙の公正を確保することを目的として、政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律(平成六年法律第百六号)は、議会制民主政治における政党の機能及び社会的責務の重要性に鑑み、政党が財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務を運営することに資するため、政党交付金の交付を受ける政党等に法律上の能力を与え、政党の政治活動の健全な発達の促進を図り、もって民主政治の健全な発達に寄与することが必要であるとして、それぞれ制定されたものと承知している。

二について

 国民主権の原理、憲法第十五条第一項の規定の趣旨にのっとり定められている我が国の選挙制度等の下で、政治資金規正法第二十二条の五の規定は、我が国の政治や選挙が外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止する機能を有するものと考えている。

三について

 現行の法令において、政党の代表者の選出の手続を定める規定はなく、その手続は当該政党に委ねられているものであることから、政党の代表者の選出についてのお尋ねは、政党内の手続に関するものであると考える。

四について

 内閣総理大臣は、憲法及びその下の法令の規定に基づいて、国民が選挙により選出した国会議員の中から国会の議決で指名されるものであり、「国民主権、憲法第十五条第一項の規定に違反する」との御指摘は当たらないものと考えている。

五について

 御指摘の答弁部分は、憲法第六十七条が内閣総理大臣の指名について規定しており、同条に基づき内閣総理大臣が指名されることをお示ししたものである。