質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第二二二号

内閣参質一七七第二二二号
  平成二十三年七月十五日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員糸数慶子君提出グアム移転協定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出グアム移転協定に関する質問に対する答弁書

一について

 日米両政府は、本年六月二十一日に開催された日米安全保障協議委員会(以下「SCC」という。)の際に発表したSCC文書「在日米軍の再編の進展」において、同文書及び昨年五月二十八日のSCC共同発表によって補完された平成十八年五月一日のSCC文書「再編の実施のための日米ロードマップ」(以下「補完されたロードマップ」という。)並びに第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(平成二十一年条約第三号。以下「グアム移転協定」という。)に従って在沖縄海兵隊のグアムへの移転(以下「グアム移転」という。)を着実に実施する旨を確認している。
 政府としては、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担を軽減するため、引き続きこれらの日米合意に従ってグアム移転を着実に実施していく所存である。

二について

 本年六月三十日に米国上院歳出委員会は、二千十二会計年度の軍事建設等に関する歳出についての法案を、グアム移転に係る予算約一億五千六百万米ドルを認めない形で可決すべきものと決したと承知している。一方、下院では、同法案を、グアム移転に係る予算約一億五千六百万米ドルを認める形で可決したと承知しており、今後、両院の間で最終案に向けた調整が行われるものと考えている。政府としては、このようなグアム移転の米国側予算に係る同国議会の動向を引き続き注視しつつ、グアム移転の着実な実施のため同国と協力していく考えである。

三について

 グアム移転に係る日本側負担の費用の見積額は、平成十八年五月一日のSCC文書「再編の実施のための日米ロードマップ」で発表し、グアム移転協定の前文においてもこれを確認しているものである。グアム移転に係る米国側負担の費用についても同国が適切に資金を拠出する必要があると考えているが、我が国としても、引き続き補完されたロードマップ及びグアム移転協定に従って、グアム移転に必要な経費を負担していく考えであり、御指摘のような場合が仮に生じたとしても、そのことにより日本側負担の費用の見積額が変更されることはない。

四について

 グアム移転協定に従い、我が国政府は、平成二十一年度に三億三千六百万米ドルの資金を、平成二十二年度に四億九千七百八十万米ドルの資金を、米国政府に対し、それぞれ提供しているところであり、これらの資金については、米国政府がグアム移転協定に従って使用することとなっているが、お尋ねについて、事業の種類ごとにお答えすると以下のとおりである。
 基地内の基盤整備事業については、平成二十一年度に、フィネガヤン地区におけるもの(第一段階)に一億二千四百八十万米ドル、アンダーセン空軍基地の北部地区におけるものに二千七百万米ドル、アプラ地区におけるものに一億六千九百十万米ドルをそれぞれ提供し、平成二十二年度にフィネガヤン地区におけるもの(第二段階)に三億九百万米ドルを提供しているところ、これらの進捗状況としては、事業者選定のための手続を実施中であると承知している。
 建設事業については、平成二十二年度に、フィネガヤン地区における消防署の建設に二千五百十万米ドル、アプラ地区における港湾運用部隊の司令部庁舎の建設に二千四百八十万米ドル、アプラ地区における診療所の建設に九千六百万米ドルをそれぞれ提供しているところ、これらの進捗状況としては、事業者選定のための手続を実施中であると承知している。
 設計事業については、平成二十一年度にフィネガヤン地区における消防署及び単身の下士官用の隊舎並びにアプラ地区における港湾運用部隊の司令部庁舎及び診療所の設計に千五百十万米ドルを提供し、平成二十二年度にフィネガヤン地区における基地管理庁舎、海兵後方群の司令部庁舎、警察署、複合体育施設、下士官用の食堂及び単身の下士官用の隊舎の設計に四千二百九十万米ドルを提供しているところ、これらの進捗状況としては、事業者により実施中又は今後実施される予定であると承知している。