質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八四号

内閣参質一七七第一八四号
  平成二十三年六月十四日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員浜田昌良君提出障害年金の受給要件の緩和に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出障害年金の受給要件の緩和に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「逆選択による弊害」としては、例えば、保険料を事前に納付した障害基礎年金の受給者との間の公平性が損なわれるとともに、被保険者の保険料納付意欲が損なわれ、公的年金制度の存立基盤を危うくするおそれがあることが考えられるが、その程度について金額等による推計を行うことは困難である。
 また、お尋ねの不支給となっている者の数についての推計は行っていない。

二について

 国民年金法の一部を改正する法律(昭和四十一年法律第九十二号。以下「昭和四十一年改正法」という。)の制定前は、障害年金については、異なる公的年金制度における被保険者期間を通算する制度がなく、また、その支給要件として、初診日の前日において一年以上の国民年金の被保険者期間が必要であったことから、他の公的年金制度から国民年金制度に加入した直後に初診日がある者の中には、初診日前の国民年金の被保険者期間がない又は短いために、当該支給要件を満たすことができない者がいたという事情があったことから、御指摘のような支給要件の改正が行われたものであり、異なる公的年金制度における被保険者期間が通算されることとなっている現行制度における障害年金の支給要件と昭和四十一年改正法による改正後の支給要件を同列に論ずることはできないと考える。

三について

 御指摘のような制度改正を行うことについては、一についてで述べたような弊害が生ずるおそれがあり、適当ではないと考えている。

四について

 お尋ねの障害基礎年金に係る障害者の実情に配慮した対応については、国民年金制度が社会保険方式を採用していることを踏まえ、今後、慎重に検討してまいりたいが、御指摘の年金確保支援法案や過去三回行われた特例納付においても、障害年金の受給権を発生させるためには、傷病に係る初診日の前日までに保険料を納付することが必要であるという考え方は維持されており、今後の検討に際しても、このような考え方を変更することは考えていない。

五について

 お尋ねの「不整合の訂正によって障害年金の受給権が失われる場合」としては、例えば、その障害の原因となる傷病に係る初診日の属する月の前々月までの被保険者期間について、実際の被保険者種別と年金記録との間に不整合が生じている場合に、当該年金記録を訂正することにより、従前、第三号被保険者期間として取り扱われていた期間が第一号被保険者期間となり、当該期間に係る保険料が納付されていないために支給要件を満たさなくなる場合がある。また、お尋ねの「特別の措置」については、現在、御指摘の報告書も踏まえつつ、検討しているところである。

六及び七について

 お尋ねについては、現在、御指摘の報告書も踏まえつつ、いわゆる第三号被保険者に係る記録不整合問題への対応について検討しているところであり、現時点でお答えすることは困難である。