質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八二号

内閣参質一七七第一八二号
  平成二十三年六月十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員森まさこ君提出緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」についてのマニュアルに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員森まさこ君提出緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」についてのマニュアルに関する質問に対する答弁書

一について

 髙木文部科学大臣は、平成二十二年九月の就任に際し、文部科学省担当部局から、原子力防災対策の一つとして、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(以下「SPEEDI」という。)を整備していることについて説明を受けている。

二について

 SPEEDIについては、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第三十四条第一項の規定に基づき中央防災会議が作成した防災基本計画において、文部科学省が適切に整備、維持等を行うこと等を定め、また、その詳細な活用方法等については、「原子力施設等の防災対策について」(昭和五十五年六月原子力安全委員会決定)、「環境放射線モニタリング指針」(平成二十年三月原子力安全委員会決定)等において定めている。

三について

 東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故の発生後、原子力災害対策本部長は、福島県知事及び関係市町村の長に対して、平成二十三年三月十一日午後九時二十三分に福島第一原子力発電所から半径三キロメートル圏内の区域の居住者等について、同月十二日午前五時四十四分に福島第一原子力発電所から半径十キロメートル圏内の区域の居住者等について、同日午後六時二十五分に福島第一原子力発電所から半径二十キロメートル圏内の区域の居住者等について、それぞれ避難のための立退きに係る指示を行った。
 この結果、同月十五日午後七時までに、福島第一原子力発電所から半径二十キロメートル圏内の区域の居住者等の避難のための立退きがおおむね終了したことを確認した。その避難状況の詳細は網羅的には把握していないが、福島県災害対策本部が作成した同日午後五時現在の資料によると、浪江町の居住者等は、伊達市の避難所一か所及び川俣町の避難所二か所に、双葉町の居住者等は、川俣町の避難所二か所、郡山市の避難所一か所及び田村市の避難所一か所に、大熊町の居住者等は、田村市の避難所五か所に、楢葉町の居住者等は、いわき市の避難所四か所及び石川町の避難所一か所に、それぞれ避難したことが明らかとなっており、また、このほか、どの地域の居住者等であるかは不明であるが、福島市など福島県内の他の市町村に避難した者も確認されている。なお、現時点における福島県内の避難所への避難状況については、福島県のホームページに公表されている。

四について

 SPEEDIによる放射能影響予測については、防災基本計画において、「関係省庁の迅速な応急対策の実施に資するため、予測結果を関係省庁に伝達するものとする」などとしているが、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震の発生後、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所については、地震による通信系統の途絶等により、原子炉の状態等に関する情報が入手できなかったため、実際の放射性物質の予測放出量等の情報を得ることができず、これに基づく放射能影響予測を行うことができなかったものであり、現在においても同様の状況にある。他方、政府においては、周辺環境における放射性物質の大気中濃度の測定結果等から推定される福島第一原子力発電所からの放射性物質の放出量等に基づき、周辺環境における積算線量の試算等を同月十六日から行い、その結果を同月二十三日以降、公開しているほか、福島第一原子力発電所から一ベクレルの放射性物質が放出されたと仮定した場合の周辺環境における放射性物質の大気中濃度及び空気吸収線量率の試算等を同月十一日から行い、その結果を同年四月二十六日以降、公開するなどしている。