質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七二号

内閣参質一七七第一七二号
  平成二十三年六月十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員片山さつき君提出東京電力株式会社への金融機関融資をめぐる政府の対応等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員片山さつき君提出東京電力株式会社への金融機関融資をめぐる政府の対応等に関する質問に対する答弁書

一について

 金融庁としては、一般に、金融機関の健全性等の監督の観点から、必要に応じ、金融機関の融資状況等についての情報収集等を実施しているが、融資の要請又はそれを示唆する発言を行ったという事実はない。
 また、平成二十三年三月二十五日に、株式会社三井住友銀行頭取が経済産業省を訪問した際に、経済産業事務次官から、今回の東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故(以下「福島原子力発電所事故」という。)に係る原子力損害の賠償についての経済産業省の考え方について話をしたが、融資の要請又はそれを示唆する発言を行ったという事実はない。

二について

 政府としては、福島原子力発電所事故に係る原子力損害については、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第三条第一項ただし書ではなく、原子力事業者がその賠償責任を負うとする同項本文が適用されることを前提に対応を進めているところである。
 なお、政府としては、金融機関に対して、融資の要請又はそれを示唆する発言を行ったという事実はない。

三について

 政府としては、金融機関による個別企業に対する融資に関する仮定の御質問について、お答えすることは差し控えたい。

四について

 一般電気事業者の社債には電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第三十七条の規定により一般の先取特権に次ぐ先取特権が付与されており、また、東京電力におけるこのような社債の募集要項においては、「当会社が破産手続開始の決定もしくは会社更生手続の開始決定を受け、または解散(合併の場合を除く。)をしたとき」には期限の利益を喪失する旨の特約が含まれているものと認識している。
 なお、政府としては、東京電力が会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)や民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)の適用を受けた場合の弁済の見通しに関する仮定の御質問について、お答えすることは差し控えたい。

五について

 一般電気事業者の社債には電気事業法第三十七条の規定により一般の先取特権に次ぐ先取特権が付与されているため、当該社債を有する債権者は、このような優先権のない損害賠償請求権や貸付債権を有する債権者と比べて優先的な取扱いを受けるものと考えている。
 この点は、会社更生法や民事再生法の適用を受けた場合においても同様である。

六について

 政府としては、社債市場への影響に関する仮定の御質問について、お答えすることは差し控えたい。いずれにしても、引き続き市場の動向等について注視してまいりたい。

七について

 電気事業の全部の譲渡し及び譲受けについては、電気事業法第十条第一項の規定により、経済産業大臣の認可が必要であり、同大臣は、同条第三項において準用する同法第五条各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、認可をしてはならないとされている。また、電気事業者の事業の休止若しくは廃止又は法人の解散については、同法第十四条の規定により、経済産業大臣の許可又は認可が必要であり、同大臣は、公共の利益が阻害されるおそれがないと認めるときでなければ、許可又は認可をしてはならないとされている。