質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六八号

内閣参質一七七第一六八号
  平成二十三年六月七日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員熊谷大君提出東日本巨大地震・津波災害における予備自衛官等の災害招集に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員熊谷大君提出東日本巨大地震・津波災害における予備自衛官等の災害招集に関する質問に対する答弁書

一について

 本年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震による災害に対し、自衛隊として総力を挙げて災害派遣活動を行うため、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第七十条第一項及び第七十五条の四第一項の規定に基づき、陸上自衛隊の予備自衛官及び即応予備自衛官並びに海上自衛隊及び航空自衛隊の予備自衛官の災害招集及び災害等招集(以下「災害招集等」という。)を実施しているところである。
 陸上自衛隊の予備自衛官については、本年六月一日現在までに、災害派遣活動等に当たる部隊等で必要とされる技能を有する者延べ五百十九人に招集の打診を行い、このうち延べ四百十六人に対して招集命令を発し、延べ三百六十人が招集に応じて出頭したほか、同日現在、五十五人が出頭準備中である。招集期間は、最長九日間である。招集された予備自衛官は、在日米軍等の救援活動の円滑化を図るための通訳業務や、自衛隊病院や駐屯地医務室における衛生業務、さらに、東北方面区内の各駐屯地業務隊における災害派遣活動の後方支援業務に従事している。
 陸上自衛隊の即応予備自衛官については、本年六月一日現在までに、延べ三千十人に招集の打診を行い、このうち延べ二千二百十人に対して招集命令を発し、延べ二千百九十六人が招集に応じて出頭した。招集期間は、最長十四日間である。招集された即応予備自衛官は、岩手県及び宮城県の被災地で、給水、給食、入浴等の生活支援活動、物資輸送、瓦礫除去、捜索活動等を行っている。
 海上自衛隊の予備自衛官については、本年六月一日現在までに、災害派遣活動等に当たる部隊で必要とされる技能を有する者九人に招集の打診を行い、このうち五人に対して招集命令を発し、その全員が招集に応じて出頭した。招集期間は、最長八日間である。招集された予備自衛官は、八戸航空基地隊における基地内の復旧活動等や横須賀基地業務隊による給食業務に従事している。
 航空自衛隊の予備自衛官については、本年六月一日現在までに、災害派遣活動等に当たる部隊で必要とされる技能を有する者三十三人に招集の打診を行い、このうち二十五人に対して招集命令を発し、二十四人が招集に応じて出頭した。招集期間は、最長十六日間である。招集された予備自衛官は、岩手県及び宮城県の被災地で、給水、給食等の生活支援活動に従事している。

二について

 予備自衛官及び即応予備自衛官(以下「予備自衛官等」という。)は、招集に応じて出頭した日をもって自衛官となって勤務するものであり、その処遇についてはその他の自衛官と同様に取り扱われる。

三について

 防衛省・自衛隊においては、日頃から、自衛隊地方協力本部が中心となって、予備自衛官等の雇用企業等に対し、予備自衛官等の制度等についてパンフレット等を用いて説明を実施している。
 また、即応予備自衛官の訓練招集や災害等招集に際しての雇用企業等の積極的な協力の確保を図るために、雇用する即応予備自衛官一人につき月額四万二千五百円の即応予備自衛官雇用企業給付金を、一定の要件を満たす雇用企業等に対して支給している。
 今般の予備自衛官等の災害招集等に際しては、実任務に係る招集は初めて実施するものであること等を踏まえ、雇用企業等に対し、招集に関して特段の配慮をお願いする旨の、防衛大臣からのメッセージを発出したところである。
 さらに、自衛隊地方協力本部では、予備自衛官等の雇用企業等に対して、今般の災害招集等に係る予備自衛官等の活動予定、被災地における実際の活動状況等を説明するとともに、招集に協力していただいた雇用企業等には直接出向いて感謝の意を表する等、きめ細かく対応している。

四及び五について

 お尋ねの「雇用企業の理解を得られず招集を断念した例」としては、雇用する予備自衛官等の招集について打診をした雇用企業等から、当該雇用企業等自体の被災、災害復旧に伴う業務の急激な増加又は招集時期における勤務上の都合を理由に、今回は協力できない旨の回答があったため、招集命令を発しなかった例があるが、その数は非常に少なかったと認識している。
 また、お尋ねの「不利益を被った例」は、防衛省・自衛隊においては把握していない。
 防衛省・自衛隊としては、今般の予備自衛官等の災害招集等について、雇用企業等の理解と協力は十分に得られていると考えるが、今後、より詳細に実態を調査するとともに、必要に応じ、より一層の理解と協力を得るための施策について検討していくこととしたい。