質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五七号

内閣参質一七七第一五七号
  平成二十三年五月二十七日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 枝野 幸男   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員中西健治君提出「東京電力福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについて」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中西健治君提出「東京電力福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについて」に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 原子力損害の賠償については、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号。以下「原賠法」という。)第三条第一項により、原子力事業者が無過失責任を負うこととされており、今般の東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の事故(以下「福島原子力発電所事故」という。)に係る原子力損害については、一義的に原子力事業者である東京電力がその賠償責任を負うべきものと考えている。
 「東京電力福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについて」(平成二十三年五月十三日原子力発電所事故経済被害対応チーム関係閣僚会合決定)においては、東京電力が賠償責任を負うことを前提に、政府としても、これまで原子力事業者と共同して原子力政策を推進してきた社会的責務を認識しつつ、原賠法の枠組みの下で、東京電力に対する支援を行うことを明らかにしたところである。他方、「原子力被災者への対応に関する当面の取組方針」(平成二十三年五月十七日原子力災害対策本部決定)においては、原子力政策が国策として、国民の理解と信頼を得ながら推進されてきたものであることに留意しつつ、東京電力による賠償に対する支援のほか、福島原子力発電所事故の被災者への支援並びに被災地域の復旧及び復興について、国が責任を持って取り組むことを明確にしたものである。よって、両文書における政府の立場に矛盾はない。

四について

 一から三までについてで述べたとおり、福島原子力発電所事故に係る原子力損害については、原賠法に基づき、東京電力が公平かつ迅速な賠償を行うことを前提に、政府による支援の枠組みの具体的内容について検討を進めている。なお、平成二十三年五月十日には、東京電力から海江田原子力経済被害担当大臣に対し、原子力事業者が原賠法第三条に基づき損害賠償を行うために必要な援助について規定した「原賠法第十六条に基づく国の援助の枠組みを策定していただきた」いとの要請がなされているところである。

五及び六について

 政府としては、福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みの具体的内容について検討しているところであるが、今後も、その実現に向けて、国会の場においても広く議論していただきたいと考えている。御指摘の平成二十三年五月十七日の参議院財政金融委員会における自見内閣府特命担当大臣(金融)の答弁は、東京電力等の株価の下落等が金融機関の経営に与える影響をどのように認識しているかという趣旨の質問に対し、金融機関が保有する個別の金融商品等に関する状況について、金融担当の大臣としての見解を示すことを差し控えたものであり、原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについて国会で議論されることを否定したものではない。