質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一七号

内閣参質一七七第一一七号
  平成二十三年三月二十五日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員浜田昌良君提出やむを得ず税を滞納した中小企業に対する金融機関の融資判断弾力化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出やむを得ず税を滞納した中小企業に対する金融機関の融資判断弾力化に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、納税者が消費税を滞納する要因は、景気の状況や納税者個々の事業の状態等、様々な事情によると考えられる。

二の1について

 国税は、その納付の期限内に自主的に納付されるべきものであり、期限内に納付されない場合には、原則として滞納処分が執行されることとなる。しかしながら、納税者の実情によっては、滞納処分を執行することが妥当でない場合があるため、納税者個々の実情に即して国税の徴収を緩和し、弾力的な扱いをすることを目的として、納税の猶予(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第四十六条第二項及び第三項並びに租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第六十六条の四の二第一項及び第六十八条の八十八の二第一項の規定による納税の猶予をいう。以下同じ。)、換価の猶予(国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)第百五十一条の規定による換価の猶予をいう。以下同じ。)等の猶予制度が設けられているところである。国税庁としては、納税の猶予、換価の猶予等の猶予制度の適用に当たっては、個
 々の納税者について、法令に定められた要件に該当するか否かを調査した上で適正に処理しているところである。
 なお、国税庁においては、平成二十一年七月から平成二十二年六月までの一年間において、納税の猶予を三百十二回、換価の猶予等を十九万八千四百六十七回行うなど、法令の規定に基づき、納税者個々の実情に即して、これらの猶予制度を適正に適用しているところである。

二の2について

 金融庁においては、お尋ねの換価の猶予を受けた企業に限定した融資の実態は把握していないが、事業資金の貸付けに係る債務を有する中小企業者から、当該債務の弁済に支障を生じる等により当該債務の弁済に係る負担の軽減の申込みが金融機関にあった場合には、中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(平成二十一年法律第九十六号。以下「中小企業金融円滑化法」という。)第八条第一項に基づき、中小企業者の債務の弁済に係る負担の軽減に資する措置等について、当該金融機関から定期的に報告を受けているところである。

二の3について

 納税の猶予、換価の猶予等の猶予制度の適用を受けて分割納付を行っている者に対し、金融機関が融資を継続すべきかどうかについては、金融機関の個別の経営判断に係る事項であると考えるが、金融機関は、中小企業金融円滑化法等に基づき、中小企業者に対する金融の円滑化に努めることとされている。

二の4について

 国税庁としては、納税の猶予、換価の猶予等の猶予制度の適用に当たっては、個々の納税者について、法令に定められた要件に該当するか否かを調査した上で適正に処理しているところである。
 また、納税の猶予のうち国税通則法第四十六条第二項及び第三項の規定による猶予又は換価の猶予を行った場合において、猶予をした期間内にその猶予をした金額を納付することができないやむを得ない理由があると認めるときは、法令で定められた範囲内でその期間の延長を行っているところであり、引き続き、法令の規定に基づき、納税者個々の実情に即して適切に対応してまいりたい。

三について

 株式会社日本政策金融公庫(以下「公庫」という。)の小規模事業者経営改善資金融資(マル経)制度は、納期限の到来している所得税、事業税等を全て完納していること等の要件を満たしていることを前提として、経営改善に資する資金の融資を行うため、金利引下げ等の措置を講じているものである。御指摘のような柔軟な対応をすることが妥当かどうかは、このような制度の趣旨を踏まえ、検討してまいりたい。また、公庫のセーフティネット貸付制度は、税金の完納を貸付けの要件とはしておらず、公庫は、中小企業者等に対し、柔軟な対応等に努めていると承知している。

四について

 政府としては、公庫等の政府系金融機関に対しては、貸出審査に際して、形式的な事象のみで判断することのないよう求めているところであり、これを踏まえ、公庫等は、中小企業者等に対し、丁寧な対応等に努めていると承知しており、引き続き、徹底してまいりたい。

五について

 税金を滞納している中小企業者に対し、金融機関が融資を行うかどうかについては、金融機関の個別の経営判断に係る事項であると考えるが、金融機関は中小企業金融円滑化法等に基づき、中小企業者に対する金融の円滑化に努めることとされており、政府としては、金融機関に対する要請等を通じて、適切に対応している。なお、信用保証協会等に対しては、審査に際して、形式的な事象のみで判断することのないよう求めているところである。