質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一二号

内閣参質一七七第一一二号
  平成二十三年三月二十五日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員藤井基之君提出輸入新型インフルエンザワクチン等の流通等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤井基之君提出輸入新型インフルエンザワクチン等の流通等に関する質問に対する答弁書

一について

 これまでに薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条の三第一項の規定に基づき厚生労働大臣が特例承認を行った医薬品は、アレパンリックス(H1N1)筋注及び乳濁細胞培養A型インフルエンザHAワクチンH1N1「ノバルティス」筋注用の二品目である。
 これら二品目の特例承認を行った理由は、当該二品目が対象としている新型インフルエンザ(A/H1N1)は感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)第六条第七項第一号に規定する新型インフルエンザ等感染症に該当するものであり、当該二品目はそのまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品であり、かつ、既に承認されていたワクチンでは国民に接種機会を提供するために必要な数量を確保できないため、当該二品目の使用以外に適当な方法がないこと、また、アレパンリックス(H1N1)筋注にあってはカナダにおいて、乳濁細胞培養A型インフルエンザHAワクチンH1N1「ノバルティス」筋注用にあってはドイツにおいて既に承認されており、当該二品目は、その用途に関し、医薬品の品質、有効性及び安全性を確保する上で我が国と同等の水準にあると認められる医薬品の製造販売の承認の制度又はこれに相当する制度を有している外国において、販売等することが認められている医薬品であると考えられることから、当該二品目は薬事法第十四条の三第一項各号のいずれにも該当するものであると判断したものである。

二について

 お尋ねについては、輸入ワクチンはグラクソ・スミスクライン株式会社から抗原二・五ミリリットルバイアル及びアジュバント二・五ミリリットルバイアルを一組とする製剤を一回分当たり七・六〇〇九五ユーロ、Novartis Vaccines and Diagnostics AGから六ミリリットルバイアル製剤を一回分当たり千二百八十七円で買い上げている。なお、グラクソ・スミスクライン株式会社との契約書上、一ユーロを百四十三円として換算することとしている。
 国産ワクチンの買上げ価格については、これを公にすることにより、国内の各製造販売業者の競争上の地位を害するおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。

三について

 お尋ねについては、平成二十二年二月十二日に、株式会社アステムに対し、乳濁細胞培養A型インフルエンザHAワクチンH1N1「ノバルティス」筋注用一七〇回分(以下「一七〇回分」という。)を二箱、株式会社ケーエスケーに対し、乳濁細胞培養A型インフルエンザHAワクチンH1N1「ノバルティス」筋注用一七回分(以下「一七回分」という。)を二箱、株式会社スズケンに対し、一七回分を四箱、一七〇回分を一箱及びアレパンリックス(H1N1)筋注五〇回分(以下「五〇回分」という。)を五箱、東邦薬品株式会社に対し、一七〇回分を三箱及び五〇回分を二箱、富田薬品株式会社に対し、一七〇回分を一箱及び五〇回分を一箱、中北薬品株式会社に対し、五〇回分を一箱、株式会社バイタルネットに対し、一七回分を二箱及び一七〇回分を一箱、株式会社ほくやくに対し、五〇回分を一箱、株式会社メディセオに対し、一七〇回分を二箱及び五〇回分を二箱、同年三月一日に、アルフレッサ株式会社に対し、一七回分を六箱、東邦薬品株式会社に対し、五〇回分を一箱、同月十日に、株式会社アステムに対し、一七回分を三箱、アルフレッサ株式会社に対し、五〇回分を一箱、株式会社恒和薬品に対し、五〇回分を一箱、株式会社翔薬に対し、一七回分を四箱、株式会社スズケンに対し、一七回分を七箱及び五〇回分を三箱、東邦薬品株式会社に対し、一七回分を三箱及び五〇回分を五箱、株式会社メディセオに対し、五〇回分を十一箱、同月二十九日に、株式会社ケーエスケーに対し、五〇回分を二箱、株式会社スズケンに対し、一七回分を二箱、株式会社モロオに対し、五〇回分を一箱、同年七月六日に、株式会社アステムに対し、五〇回分を一箱、アルフレッサ株式会社に対し、一七回分を七箱及び五〇回分を八箱、株式会社ケーエスケーに対し、五〇回分を一箱、四国薬業株式会社に対し、五〇回分を三箱、株式会社翔薬に対し、五〇回分を二箱、株式会社スズケンに対し、一七回分を三箱及び五〇回分を二十箱、東邦薬品株式会社に対し、一七回分を一箱及び五〇回分を九箱、富田薬品株式会社に対し、五〇回分を一箱、株式会社バイタルネットに対し、一七回分を四箱及び五〇回分を三箱、株式会社ほくやくに対し、五〇回分を九箱、株式会社メディセオに対し、一七回分を二箱及び五〇回分を一五箱、株式会社モロオに対し、五〇回分を二箱、同年九月六日に、株式会社アステムに対し、五〇回分を一箱、アルフレッサ株式会社に対し、五〇回分を四箱、株式会社翔薬に対し、五〇回分を二箱、株式会社スズケンに対し、五〇回分を六箱、東邦薬品株式会社に対し、五〇回分を一箱、富田薬品株式会社に対し、五〇回分を一箱、株式会社ほくやくに対し、五〇回分を一箱、株式会社メディセオに対し、五〇回分を四箱、株式会社モロオに対し、五〇回分を二箱、平成二十三年一月一二日に、アルフレッサ株式会社に対し、五〇回分を二箱、岡野薬品株式会社に対し、五〇回分を一箱、株式会社ケーエスケーに対し、五〇回分を六箱、株式会社スズケンに対し、五〇回分を一箱、鍋林株式会社に対し、五〇回分を一箱、株式会社メディセオに対し、五〇回分を九箱、株式会社モロオに対し、五〇回分を一箱、同年三月四日に、アルフレッサ株式会社に対し、五〇回分を一箱、株式会社スズケンに対し、五〇回分を一箱、中北薬品株式会社に対し、五〇回分を一箱、株式会社バイタルネットに対し、五〇回分を一箱、株式会社メディセオに対し、五〇回分を二箱、それぞれ売却した。
 売却価格は、一七回分が一万四千六百六十三円、一七〇回分が十四万六千六百二十五円、五〇回分が平成二十二年九月三十日までは四万三千百二十五円、同年十月一日以降は二万四千六百五十円である。

四について

 お尋ねの輸入ワクチンの使用数量については、厚生労働省として全てを把握しているわけではないが、報告のあった都道府県の使用数量を合計すると、平成二十二年十二月三十一日までに千五十六回分接種されている。また、輸入ワクチンについては、国産ワクチンのような買戻しの要望はなかったことから、買戻しは行われていない。

五について

 お尋ねについては、平成二十二年度の新型インフルエンザワクチン接種事業において、平成二十三年三月四日現在、千三百五十回分の一価ワクチンが供給されている。また、輸入ワクチンの在庫数量は、同日現在、五千三十一万二千回分である。

六について

 お尋ねについては、平成二十一年度の新型インフルエンザワクチン接種事業においては、必要量に比してワクチンの供給可能量が少ない中で緊急的に実施する必要があるという状況の下、ワクチンの価格高騰などにより、ワクチン接種を受けることができない者が生ずる懸念があったことから、例外的な措置として、国が期間を限定した上で流通価格を定めたものである。平成二十二年度の新型インフルエンザワクチン接種事業においては、三価ワクチンに加え、平成二十一年度に国が買い上げた一価ワクチンの在庫も供給可能であり、十分な供給が見込まれ、平成二十一年度のような懸念がなかったことから、三価ワクチン、一価ワクチンのいずれについても国が流通価格を定めていないものである。