質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第八八号

内閣参質一七七第八八号
  平成二十三年三月四日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員加藤修一君提出地上デジタル放送への完全移行に向けた対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出地上デジタル放送への完全移行に向けた対策に関する質問に対する答弁書

一について

 チューナー等の無償給付を行う受信機器購入等対策事業は、日本放送協会(以下「NHK」という。)の放送受信料の全額免除世帯(以下「受信料全額免除世帯」という。)及び市町村民税(特別区民税を含む。)の非課税世帯(受信料全額免除世帯を除く。以下「住民税非課税世帯」という。)のうち、地上デジタル放送に対応していない世帯を対象に、申込みに応じて支援を行うこととしている。当該事業において申込みの対象になると想定している世帯数は、受信料全額免除世帯にあっては最大約百四十万、住民税非課税世帯にあっては最大約百五十六万である。
 受信料全額免除世帯に対する支援は、平成二十一年十月一日から申込受付が開始されており、平成二十二年十二月末までの申込世帯数は約百三万である。このうち同月末現在でチューナー等が給付済みの世帯の都道府県別の数は、北海道約四万千八百、青森県約一万千百、岩手県約五千五百、宮城県約一万百、秋田県約七千九百、山形県約三千七百、福島県約七千六百、茨城県約八千三百、栃木県約五千二百、群馬県約五千四百、埼玉県約一万六千四百、千葉県約一万六千百、東京都約五万二千、神奈川県約二万五千九百、新潟県約九千二百、富山県約二千五百、石川県約三千七百、福井県約千九百、山梨県約二千五百、長野県約六千二百、岐阜県約五千七百、静岡県約七千三百、愛知県約二万千九百、三重県約五千九百、滋賀県約三千三百、京都府約一万八千百、大阪府約六万四千三百、兵庫県約二万四千七百、奈良県約七千、和歌山県約六千二百、鳥取県約三千四百、島根県約二千五百、岡山県約七千六百、広島県約一万四千九百、山口県約六千百、徳島県約五千百、香川県約四千九百、愛媛県約七千九百、高知県約五千七百、福岡県約三万八千三百、佐賀県約二千四百、長崎県約八千九百、熊本県約八千三百、大分県約六千、宮崎県約六千八百、鹿児島県約一万六百、沖縄県約五千三百である。
 住民税非課税世帯に対する支援は、本年一月二十四日から申込受付が開始されたところであり、チューナー等の無償給付は今後実施されていくこととなっている。

二について

 米国においては、地上デジタル放送への完全移行期日を、当初、二千六年十二月末と定めていたが、二千六年二月、地上デジタル放送対応受信機(以下「対応受信機」という。)の世帯普及率が二千五年末で約五十五パーセントと普及が遅れていたこと等から当該期日を二千九年二月に延期することを決め、さらに、同月、米国政府によるチューナーの無償給付による支援の財源が枯渇し支援の申込みがあるにもかかわらず支援ができない状況が発生したこと等から当該期日を同年六月に再び延期することを決め、同月十二日に地上アナログ放送を停波したと承知している。なお、米国の民間会社の調査によれば、同国におけるデジタル放送に移行していない世帯数は、二千九年二月十五日時点で五百万以上、同年六月十四日時点で約二百五十万であったと承知している。
 韓国においては、地上デジタル放送への完全移行期日を、当初、二千十年十二月末と定めていたが、二千七年四月、対応受信機の世帯普及率が二千六年末で約二十四パーセントと普及が遅れていたこと等から当該期日を二千十二年十二月末に延期することを決めたと承知している。また、同国における対応受信機の世帯普及率は、二千十年末時点で約六十五パーセントであると承知している。
 以上のように、米国及び韓国においては対応受信機の普及が遅れていたことなどそれぞれの事情により完全移行期日の延期を決めたものである一方、我が国においては対応受信機の普及等の状況はおおむね順調に進捗しているものと認識しており、我が国において本年七月二十四日の完全移行期日を延期する必要はないと考えている。

三について

 総務省及びNHKは、地上デジタル放送への移行に伴う地上アナログ放送の停波に際して、NHKのテレビ番組の視聴ができなくなり「当該視聴者に受信料を返還」する事態や受信料を「支払い拒否」される事態が起きないよう、全力を挙げて取り組んでいるところであり、地上デジタル放送への移行に伴い、受信料の「支払い拒否をする」世帯数や「受信料の返還と受信料の支払い拒否によって」NHKが「どの程度の減収になるのか」については推計を行っていないが、一般論として、NHKの放送を受信することができなくなった受信者は、放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第三十二条第一項に規定するNHKの放送の受信についての契約を行う義務がなくなることから、当該契約を解約することができる。この際、既に支払われた受信料額に過払額があるときは、これを返戻する旨が、NHKが同項の契約の条項について定めた日本放送協会放送受信規約第十一条に規定されている。
 受信料を前払いしている世帯数は、平成二十二年三月末現在、六か月一括前払いが、北海道約二十三万八千九百、青森県約六万八千七百、岩手県約七万七千七百、宮城県約十一万三千三百、秋田県約五万三千四百、山形県約七万千七百、福島県約十一万九千二百、茨城県約十六万八千四百、栃木県約十一万六千三百、群馬県約十三万八千三百、埼玉県約三十二万六千九百、千葉県約二十八万七千百、東京都約五十五万四千三百、神奈川県約四十三万二千、新潟県約十三万二千四百、富山県約九万八千九百、石川県約九万五百、福井県約七万千四百、山梨県約四万八千六百、長野県約十三万九千四百、岐阜県約十五万六千、静岡県約二十五万八千、愛知県約四十六万六千二百、三重県約十四万二千、滋賀県約八万千、京都府約十一万千八百、大阪府約三十二万四千二百、兵庫県約二十六万九千六百、奈良県約六万八千二百、和歌山県約五万七千五百、鳥取県約四万五百、島根県約五万五千六百、岡山県約十一万九千、広島県約十八万七千百、山口県約十一万四千、徳島県約五万七千三百、香川県約六万五千八百、愛媛県約八万三千、高知県約四万六千七百、福岡県約二十七万三千七百、佐賀県約四万二千三百、長崎県約九万千七百、熊本県約十万八千四百、大分県約六万七千四百、宮崎県約四万七千三百、鹿児島県約九万八千九百、沖縄県約一万五千七百であり、十二か月一括前払いが、北海道約四十五万六千八百、青森県約十五万三千八百、岩手県約十五万四千五百、宮城県約二十五万二千三百、秋田県約十三万五千八百、山形県約十三万四千三百、福島県約二十一万六千三百、茨城県約三十二万八千七百、栃木県約二十四万四千七百、群馬県約二十三万八千八百、埼玉県約七十一万千二百、千葉県約六十四万四千百、東京都約百三十二万三千二百、神奈川県約九十八万千、新潟県約三十二万三千六百、富山県約十四万千百、石川県約十五万六千二百、福井県約八万九千、山梨県約十一万七千、長野県約二十七万三千九百、岐阜県約二十六万二千四百、静岡県約四十七万六千百、愛知県約九十六万六千三百、三重県約二十一万四千二百、滋賀県約十六万九千八百、京都府約二十六万九千九百、大阪府約六十九万二千八百、兵庫県約五十四万四千三百、奈良県約十五万五千三百、和歌山県約十二万五千四百、鳥取県約六万八千六百、島根県約九万二千四百、岡山県約二十三万七千二百、広島県約三十七万九百、山口県約十七万九千八百、徳島県約八万六千六百、香川県約十三万七千、愛媛県約十八万二千百、高知県約八万三千三百、福岡県約四十四万八千、佐賀県約八万九千、長崎県約十三万千六百、熊本県約十七万四千二百、大分県約十一万五千百、宮崎県約九万五百、鹿児島県約十六万二千八百、沖縄県約五万四千百であるとNHKから聞いている。
 受信料を二か月単位で支払う世帯数は、平成二十二年三月末現在、約千六百四十万であるとNHKから聞いている。

四について

 NHKの地上デジタル放送では、総合放送では二十四時間放送を行っており、教育放送では深夜に約三時間の放送休止時間を設けていると承知している。
 「深夜に視聴している世帯数」は把握していないが、NHKにおいては、NHK放送文化研究所が平成二十二年六月に行った調査による午前零時から午前五時までのNHK総合放送の平均視聴率約〇・四パーセントを基に、その時間帯の視聴者数を約四十七万人と推計している。
 深夜放送の実施については、国民の多様な需要に応える放送の実施、緊急災害時の迅速な対応、環境に配慮した省エネルギー化等を総合的に勘案して、NHKが自らの判断において行っているものと承知している。

五について

 車載型テレビについては、そのデジタル化対応の必要性について注意を喚起して対応を促す内容のビラを約二十五万部作成し、全国の自動車又は自動車用品の販売店に対し来訪者への配付を依頼しているほか、総務省等のウェブサイトに当該ビラの内容を掲載して周知するとともに、各地で行っている相談会や戸別訪問においても相談に応じている。
 車載型テレビは、日常生活において必要不可欠な情報を入手するための最も身近な手段であることに鑑み一定の要件の下に必要な支援を行っている家庭内のテレビとは異なるものではあるが、そのデジタル化対応について引き続き効果的な周知に努めてまいりたい。

六について

 チューナー内蔵録画機等のテレビ以外の受信機については、消費者団体とともに、そのデジタル化対応の必要性について注意を喚起して対応を促す内容のビラを約七十万部作成し、消費者団体や地方公共団体を通じ配付しているほか、総務省等のウェブサイトに当該ビラの内容を掲載して周知するとともに、各地で行っている相談会や戸別訪問においても相談に応じている。
 チューナー内蔵録画機等のテレビ以外の受信機は、日常生活において必要不可欠な情報を入手するための最も身近な手段であることに鑑み一定の要件の下に必要な支援を行っている家庭内のテレビとは異なるものであるので、「買い替えなどを促進するための支援策等」を行うことは考えていないが、そのデジタル化対応について引き続き効果的な周知に努めてまいりたい。

七について

 ラジオ受信機の普及台数は把握していない。
 地上テレビジョン放送については、アナログ方式による放送を本年七月二十四日までに停波する方針を平成十三年に決定し、この方針を前提に、低所得世帯に対するチューナー等の無償給付を含めデジタル化対応のための措置を講じているが、ラジオ放送については、アナログ方式による放送を停波する方針は決まっていない。
 なお、現在、総務省においては、アナログ方式による地上テレビジョン放送のデジタル化に伴い空くこととなるVHF帯の九十メガヘルツから百八メガヘルツまでの周波数帯を今後どのように使用するかについて検討を行っているところであるが、アナログ方式によるラジオ放送をデジタル方式に切り替える検討を行っているものではない。

八について

 公立の幼稚園、小学校、中学校及び高等学校(中等教育学校を含む。以下同じ。)(以下「公立学校」と総称する。)におけるデジタル化対応済みの施設の割合は、平成二十二年三月末現在、幼稚園五十六・七パーセント、小学校六十六・九パーセント、中学校六十六・二パーセント、高等学校七十五・三パーセントであり、同年八月の調査によれば、地上デジタル放送への完全移行期日である本年七月二十四日までにデジタル化対応を行う計画を有する施設の割合は、幼稚園八十九・二パーセント、小学校九十七・六パーセント、中学校九十七・四パーセント、高等学校九十五・六パーセントである。「文教施設」のうち公立学校以外の施設で、「地上デジタル放送への移行完了のためのアクションプラン二〇一〇」(平成二十二年十二月八日デジタル放送への移行完了のための関係省庁連絡会議決定)において、国民生活と密接に関連するものとして、そのデジタル化改修状況について把握するよう努めることとされている公民館については、そのデジタル化対応済みの施設の割合は、平成二十二年三月末現在二十二・一パーセントであり、同年八月の調査によれば、本年七月二十四日までにデジタル化対応を行う計画を有する施設の割合は七十三・一パーセントである。また、本年三月末時点のこれらの施設におけるデジタル化対応の状況を把握することとしている。
 文部科学省としては、これらの施設のデジタル化対応のための対策として、平成二十二年七月二十三日付け及び本年二月二十四日付けで、地方公共団体等に対し、これらの施設についてのデジタル化対応を促す通知を発出するとともに、平成二十二年度予算に計上している「安全・安心な学校づくり交付金」等を活用し支援を行っているところである。
 保育所を含めた社会福祉施設におけるデジタル化対応済みの施設の割合は、平成二十二年十月一日時点のサンプル調査によると約六十八パーセントである。また、本年三月末時点の社会福祉施設におけるデジタル化対応の状況を把握することとしている。
 厚生労働省としては、これらの施設のデジタル化対応のための対策として、平成二十二年十一月二十六日付けで、各地方公共団体に対し、管内の社会福祉施設に対する地上デジタル放送への円滑な移行についての協力依頼を行うよう要請したところである。