質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第八三号

内閣参質一七七第八三号
  平成二十三年三月一日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員若林健太君提出所得税の扶養控除等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員若林健太君提出所得税の扶養控除等に関する質問に対する答弁書

 所得再分配機能の回復や「所得控除から手当へ」との考え方の下で、十六歳未満の扶養親族を控除対象とする、所得税のいわゆる年少扶養控除については、平成二十二年度税制改正において、子ども手当の創設とあいまって、廃止されたところである。
 また、教育費等の支出がかさむ世代の税負担の軽減を図るために創設された、十六歳以上二十三歳未満の特定扶養親族を控除対象とする、所得税のいわゆる特定扶養控除については、平成二十二年度税制改正において、高校の実質無償化に伴い、十六歳以上十九歳未満の特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分(二十五万円)が廃止されたところである。その結果、十六歳以上十九歳未満の扶養親族を控除対象とする扶養控除は三十八万円となり、十九歳以上二十三歳未満の特定扶養親族を控除対象とする特定扶養控除は六十三万円として存続しているところである。
 配偶者控除については、夫婦が生活の基本的単位である点を重視する考え方等から、その見直しに慎重な意見もあるが、雇用機会均等の理念から、制度が働き方の選択に対してできる限り中立的で公正なものとなるように見直すべきではないか、また、配偶者の家事労働には納税者本人にとっての経済的価値があり、配偶者の存在を担税力の減殺要因と捉えることは必ずしも適当ではないのではないか、という見直しに積極的な意見がある。このような配偶者控除を巡る様々な議論、課税単位の議論、社会経済状況の変化等を踏まえながら、平成二十四年度税制改正以降、抜本的に見直す方向で検討することとしている。
 所得税については、以上のように所得控除の見直しを進めてきているところであり、引き続き、所得再分配機能等を回復するため、税率構造の見直しはもとより、高所得者に対して結果的に有利になっている所得控除の見直しなどによる課税ベースの拡大、さらには、所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当へという改革を進めることとしている。