質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第七三号

内閣参質一七七第七三号
  平成二十三年二月二十五日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員浜田和幸君提出環太平洋戦略的経済連携協定と為替に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田和幸君提出環太平洋戦略的経済連携協定と為替に関する質問に対する答弁書

一について

 本年一月二十九日に行われた世界経済フォーラム年次総会において、菅内閣総理大臣は、「開国と絆」と題する特別講演を行い、「今年を「第三の開国」を実現するという大きな目標を掲げたところであります。その具体的な政策の大きな一つが経済連携の推進です。(中略)私の政権では昨年十一月、積極的に経済連携を進めるために、「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定いたしました」と述べたところである。「包括的経済連携に関する基本方針」(平成二十二年十一月九日閣議決定)では、アジア太平洋地域及びそれ以外の主要国・地域との経済連携を推進していくこととしている。環太平洋パートナーシップ(以下「TPP」という。)協定については、政府としては、我が国がTPP協定に参加した場合のメリット、デメリット等を勘案した上で、本年六月を目途に交渉参加について判断することとしており、お尋ねのような仮定の質問にお答えすることは差し控えたい。

二及び四について

 TPP協定を含む自由貿易協定や経済連携協定(以下「FTA・EPA」という。)に参加するメリットとしては、輸出相手国の関税を撤廃することや、国際貿易・投資に関する幅広い分野で新たなルールの形成に関わることにより、我が国と締約国との間の貿易・投資環境を改善できることが挙げられる。主要貿易国間において高いレベルのFTA・EPAのネットワークが広がる中で、この動きに遅れると、我が国の製造業者は、FTA・EPAのメリットを享受できずに、他国の製造業者よりも厳しい競争条件を強いられることとなる。他方、為替相場の過度の変動は、我が国の製造業者の競争条件に影響を及ぼし得るが、FTA・EPAによる競争条件の改善とは別の問題として対応すべきものであると考える。

三について

 平成十八年一月の韓国ウォンと日本円の平均為替レートは、百韓国ウォン当たり約十一・七五円である一方、本年二月二十一日現在の為替レートは、百韓国ウォン当たり約七・四三円となっており、平成十八年一月の平均レートから約三十七パーセントの韓国ウォン安となっている。

五について

 FTA・EPAによる我が国の製造業者の競争条件の改善と、為替相場の過度の変動への対応については、その双方が重要であると考える。