質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第六九号

内閣参質一七七第六九号
  平成二十三年二月二十五日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員山本香苗君提出障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律の運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本香苗君提出障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律の運用に関する質問に対する答弁書

一の1について

 障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律(平成二十年法律第八十一号。以下「法」という。)第六条第一項に規定する「標準的な規格」は、教科用図書発行者による教科用特定図書等の発行を促進するため、特定の障害を有する児童生徒の多くが使用することができると認められる教科用特定図書等の規格を定めるものであり、文部科学省においては、「教科用特定図書等のうち必要と認められるもの」として「標準的な規格」を定めるか否かについては、当該教科用特定図書等の学校での使用実態及び教科用特定図書等に関する専門的な知見を踏まえつつ、当該教科用特定図書等の需要の大きさや教育効果の高さ等の観点から、これを判断することとしている。

一の2について

 文部科学省においては、現在、発達障害等のある児童生徒の障害の特性に応じた教科用特定図書等の在り方等に関する実証的な調査研究(以下「教科用特定図書等調査研究」という。)の事業を行っているところである。いわゆるマルチメディアデイジー教材を含め、障害のある児童生徒の学習の用に供するために作成された電子教材(以下単に「電子教材」という。)についても、教科用特定図書等調査研究の中で、その教育効果等を検証しているところであり、お尋ねのような会議の設置については、今後、教科用特定図書等調査研究の結果等を踏まえて検討してまいりたい。

二について

 文部科学省においては、教科用特定図書等が法第十条の規定により無償給付の対象となるか否かについては、当該教科用特定図書等が検定教科用図書等に代えて使用する図書と認められるかを、学校での使用実態等を踏まえて判断することとしている。なお、現時点で無償給付の対象としているのは、教科用拡大図書及び教科用点字図書である。

三について

 御指摘の決議は、国会においてなされたものであることから、その解釈について政府としてお答えすることは困難であるが、文部科学省においては、高等学校段階のものを含め、教科用拡大図書の普及方策等について検討するため、拡大教科書普及推進会議を設置し、その検討結果等を踏まえ、教科用拡大図書の標準的な規格の策定等を行ったところである。また、電子教材を含む、教科用拡大図書以外の教科用特定図書等についても、適切な整備や充実が図られるよう、一の2についてで述べたとおり、教科用特定図書等調査研究の事業を行っているほか、法第五条第二項の規定による教科用特定図書等の発行者に対する検定教科用図書等に係る電磁的記録の提供を円滑に行うため、「教科書デジタルデータ提供普及充実事業」を行っており、平成二十三年度予算においても、これらの事業に必要な経費を計上しているところである。