質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第六三号

内閣参質一七七第六三号
  平成二十三年二月二十五日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員加藤修一君提出年金の「運用三号」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出年金の「運用三号」に関する質問に対する答弁書

一について

 厚生労働省としては、お尋ねの人数については把握していないが、平成二十三年一月三十一日の同省の年金記録回復委員会に対し、御指摘の通知に基づく取扱い(以下「本件取扱い」という。)の対象者は、平成二十一年度に実施した調査の結果に基づくと、全体で「数十万人、場合によっては百万人以上に上る可能性がある」との報告をしているところである。

二について

 お尋ねについては、現時点では把握していない。なお、御指摘の通知が発出された平成二十二年十二月十五日から平成二十三年一月三十日までの間に、本件取扱いの適用を受けることを申し出た者は二千三百三十一人である。

三及び四について

 本件取扱いに係る負担については、公的年金制度の財源によって賄われることとなる。

五について

 「既に記録を訂正して、低年金や無年金になった人は救済されない」との御指摘については、本件取扱いが実施される前に第一号被保険者に訂正された年金記録を改めて第三号被保険者に戻すことは、現状の年金記録を変更せずに尊重するという本件取扱いの考え方を超え、新たに国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)に適合しない年金記録を作成することとなるから、これにより、これらの者を救済することは困難であるが、今後、低年金者や無年金者の問題等年金制度に関わる諸課題を検討する中で、検討すべきものであると考える。
 また、「今後も切り替えない方が得だという人が出てきかねない」との御指摘については、実際の被保険者種別と年金記録との不整合が生じないよう、国民年金法第十二条に基づき、被保険者の種別変更の届出を確実に行うことについて周知徹底してまいりたい。また、日本年金機構においては、実際の被保険者種別と年金記録との不整合が生じている者の把握に努め、当該者に対し種別変更の届出を行うよう個別に勧奨するとともに、当該勧奨に応じない場合には、職権による種別変更を徹底していくこととしている。

六及び七について

 御指摘のような制度や御指摘のような対策は、公的年金制度における公平性の観点からのものと認識しているが、本件取扱いは、実際の被保険者種別と年金記録との不整合が生じている者に対する種別変更の届出の勧奨や当該勧奨に応じない場合の職権による種別変更に係る旧社会保険庁の取組が不十分であり、実際には第一号被保険者であった期間も含め、第三号被保険者としての年金記録を、事実上、真正な記録と認めて行ってきた同庁の対応を踏まえると、これらの年金記録を過去に全て遡って職権で訂正することは、多くの年金受給権者及び被保険者に不測の不利益を生じさせ、公的年金制度に対する国民の信頼をも損ねることとなることから、あえて、現状の年金記録を変更せずに尊重することにより、国民に大きな負担を強いることなく、現行の年金制度を運用しようとするものであり、年金記録問題への対応策等について厚生労働大臣に助言することを任務とする年金記録回復委員会の審議を踏まえ、実施することとしたものである。

八について

 本件取扱いについては、六及び七についてで述べたとおり、年金記録回復委員会の審議を踏まえ、国民に大きな負担を強いることなく、現行の年金制度を運用しようとするものであるが、第三号被保険者の在り方に関わる問題でもあり、今後、第三号被保険者の在り方についての見直しの可否等に関し、関係各省等において議論を行うとともに、国民的にも議論していただきたいと考える。