質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第四〇号

内閣参質一七七第四〇号
  平成二十三年二月十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員浜田昌良君提出公的年金給付と児童扶養手当の併給調整についての検討の後退に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出公的年金給付と児童扶養手当の併給調整についての検討の後退に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘のとおりである。

二について

 児童扶養手当については、御指摘の昭和六十年の児童扶養手当法(昭和三十六年法律第二百三十八号)の改正前においても、公的年金とは異なり、母子家庭の生活の安定と自立の促進を通して児童の福祉の増進を図ることを目的としていたものであり、当該改正は、母子家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、児童扶養手当を支給することを法律上も明確にしたに過ぎない。したがって、御指摘のように「当該改正によって、児童扶養手当の目的が公的年金給付の目的と異なることがより明確に示された」とは考えていない。

三について

 児童扶養手当は、児童の福祉の増進を図ることを目的とするものであるが、その支給対象者は児童ではなく、養育者等が支給対象者であり、養育者等が公的年金の支給を受ける場合、御指摘のように「児童扶養手当と公的年金給付は支給の対象者が異な」るものではない。

四について

 政府としては、従来より児童扶養手当と公的年金は所得保障という同一の性格を有する給付である旨の認識を示してきているところであり、御指摘の答弁によって、従来の認識を変更するものではない。また、公的年金は老齢等による稼得能力の低下に対する所得保障という性格を有するものであり、御指摘のような「児童の福祉増進のために給付額を増額する仕組み」を設けることは困難である。なお、祖父母が保護者として十八歳未満の孫を養育する場合、都道府県等が必要があると認めるときは、公的年金の支給を受けることができる場合であっても、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第五十条第七号等の規定に基づき、親族里親として措置費の支給を受けることができる。

五について

 お尋ねの「それぞれの趣旨」とは、児童扶養手当については、母子家庭等の児童について児童扶養手当を支給し、当該児童の福祉の増進を図ることを示し、また、公的年金については、老齢等による稼得能力の低下を補填することを示すものであると考える。

六について

 お尋ねについては、把握していない。

七について

 お尋ねの人数及び比率については、把握していない。
 また、個別の事例を見れば、「老齢福祉年金受給者よりも所得も受給年金額も少ない老齢年金受給者」がいることもあり得るが、児童扶養手当法第四条第三項第二号の規定に基づく併給調整は、児童扶養手当と公的年金がいずれも所得保障の性格を有するものであることに着目して行うものであり、また、老齢福祉年金については、低所得者のみに支給されること等を勘案して、例外的に併給調整を行わないこととしているものである。

八について

 政府としては、児童扶養手当法の一部を改正する法律(平成二十二年法律第四十号)附則第五条の規定に基づき、同法の施行後三年を目途として、児童扶養手当制度を含め、母子家庭等に対する支援施策の在り方について検討を行うこととしており、当該検討を行う中で、お尋ねの検討についても行ってまいりたい。