質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第三三号

内閣参質一七七第三三号
  平成二十三年二月八日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員浜田昌良君提出子ども手当における地方負担をめぐる混乱に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出子ども手当における地方負担をめぐる混乱に関する質問に対する答弁書

一について

 平成二十二年度における子ども手当の支給に要する費用を負担する事務は、平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律(平成二十二年法律第十九号)に基づく事務であるため、地方財政法(昭和二十三年法律第百九号)第十三条第一項に規定する新たな事務に該当するものである。また、神奈川県知事提出の地方財政法第十三条第二項の規定による平成二十二年十二月十日及び同月二十七日付けの意見書については、平成二十三年二月四日に内閣の意見を添えて国会に提出したところである。

二について

 総務大臣は、平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案の閣議決定に当たり、意見を求められ、異議を述べなかったところである。その際、総務大臣は、地方財政審議会に対し、平成二十二年度の子ども手当の制度やその費用負担を説明し、意見を聴いたところである。
 また、総務大臣は、平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する法律案の閣議決定に当たり、意見を求められ、異議を述べなかったところである。その際、総務大臣は、地方財政審議会に対し、平成二十三年度の子ども手当の制度やその費用負担を説明し、意見を聴いたところである。

三について

 子育て支援に係る施策に要する費用については、各施策の国と地方の役割分担や事業内容を踏まえ、国、地方公共団体及び事業主が適切に負担をすべきものと考えており、その費用負担の在り方については、必ずしも現金給付であるか現物給付であるかのみによって一律に決められないものと考えている。
 なお、平成二十四年度以降の子ども手当の制度設計に当たっては、五大臣合意(平成二十二年十二月二十日国家戦略担当大臣、総務大臣、財務大臣、厚生労働大臣及び内閣府特命担当大臣(少子化対策)合意)に基づき、「厚生労働省をはじめとする関係府省と地方公共団体の代表者による会議の場において、子ども手当及びそれに関連する現物サービスに係る国と地方の役割分担及び経費負担のあり方を含め、子ども・子育て新システムの検討との整合性を図りつつ、幅広く検討する」こととしており、その際、国と地方の信頼関係を損なうことのないよう、地方の意見を真摯に受け止め、国と地方が十分な協議を行い、結論を得ることとしている。

四について

 平成二十三年度予算における子ども手当の国庫負担分(以下「国庫負担」という。)のみを平成二十三年度の子ども手当の財源とした場合について、子ども一人一月当たりの支給額を三歳未満の子どもに対する支給額が三歳以上の子どもに対する支給額より七千円多いものとして機械的に試算すると、三歳以上の子どもについては、約一万円となる。これは、国庫負担の総額約二兆二千七十七億円から全額を国庫の負担としている三歳未満の子ども手当の増額分約二千八十五億円を控除した額約一兆九千九百九十二億円を、平成二十三年度の子ども手当の支給対象となる子どもの総数約一千七百二十万人及び十二月で除した額である。また、三歳未満の子どもについて同様に試算すると、その一人一月当たりの支給額は三歳以上の子どもに対する支給額である約一万円に七千円を加えた約一万七千円となる。

五について

 本年一月二十八日に国会に提出した平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する法律案が仮に本年三月末までに成立しない場合には、児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)に基づき児童手当を支給する必要がある。しかしながら、同法に基づく児童手当は所得制限を設けているため、その支給に当たっては児童手当の支給を受けようとする者全員の所得を把握する必要があり、また児童手当を支給するための電算処理システムの改修が必要となることから、同法第八条第四項ただし書の規定による支給すべき事由が消滅した場合の支払期月でない月における児童手当の支払が困難となる。また、子ども手当及び児童手当の適用等について、住民からの多数の問い合わせが市町村に寄せられることが予想されるが、その対応が困難となるおそれがある。