質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二七二号

東日本大震災の被災地における浄水機能の復旧等の災害復旧事業のあり方に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年八月二十五日

秋 野 公 造   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   東日本大震災の被災地における浄水機能の復旧等の災害復旧事業のあり方に関する再質問主意書

 「東日本大震災の被災地における浄水機能の復旧等の災害復旧事業のあり方に関する質問主意書」(第百七十七回国会質問第二三九号。平成二十三年八月二日提出)に対する「答弁書」(内閣参質一七七第二三九号。平成二十三年八月十二日)において、政府は被災地の災害復旧事業について、「当該地方公共団体が公共土木施設に該当しないものを代替施設として整備することとした場合には、国庫負担法に基づく国庫負担の対象とはならないものの、政府としては、既存の国庫補助制度等により、地方公共団体を支援してまいりたい」として、弾力的な考えを示した。しかし、このような政府の対応は果たして現実的に可能なのか疑義があるので、次のとおり質問する。

一 合理的かつ経済的に被災地の浄水機能を復旧させるための費用負担について

 被災地において公共土木施設である下水道施設が全壊に近い被害を受け、今後市街地を安全な高台に全部移転するような場合で、かつ下水道処理区域の移転を伴うような場合には、新たな下水道施設は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づき整備できるものと考える。一方、下水道整備は時間も経費も相当嵩むとして下水道に代わって浄化槽による生活排水処理を検討した場合、下水道整備であれば激甚災害の指定に伴う国の支援や地方債の交付税措置等により、事業費のほぼ全額に近い額について国の支援が得られるが、市町村設置型の浄化槽の整備であれば事業費の三分の一の国庫補助と地方債の交付税措置(この割合は下水道整備の場合に比べて低い)しか国の支援が得られない。したがって、例えば従来下水道で処理していたのと同じ人口を対象に浄化槽を整備しようとした場合に、事業費自体は下水道より浄化槽の方が経済的であっても、市町村負担は逆に下水道より浄化槽の方が高くなることも考えられる。また、下水道整備においても同様のことが考えられ、よって、現在の国の支援制度では、経済的かつ合理的な手法を市町村が選択することは現実的には不可能と言わざるを得ない。このように政府は経済性を考慮した代替復旧を推進していないと言わざるを得ないが、政府はどのように「地方公共団体を支援」していくつもりで答弁しているのか、見解を示されたい。

二 旧下水道施設の解体、撤去等の経費について

 一で述べたように従来の下水道を浄化槽で代替復旧する場合、旧下水道施設の解体、撤去等も相当の経費がかかり、市町村の負担も重いと思われる。こうした場合の解体、撤去等の経費については、公共土木施設の災害復旧事業の一部として、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の適用が認められると思料するが、政府の見解を示されたい。

三 合理的かつ経済的に被災地の浄水機能を復旧させるための協議・検討・調整を行う主管官庁について

 東日本大震災からの復旧・復興、被災地域の復旧・復興、被災者の暮らしの一日も早い再生、災害に強い国土の構築のために、また、財政事情が厳しい中、合理的かつ経済的に最大限の復旧事業を行うための努力として、旧来の発想にとらわれず既存の制度を見直すことは不可欠である。
 これに関しては、「東日本大震災復興基本法」を提出した衆議院東日本大震災復興特別委員会の理事の「下水道は国交省と、浄化槽は環境省といろいろ分かれておりますけれども、今回のこの復興基本法は、基本的にはその地域が、また地域の住民の意向を大事にしようと、そしてそれで復興をしていこう、復旧復興していこうというのが大きな眼目でありますから、そういう省庁の縦割りというものを排していこうというのが大きな私たちの目的でもありました」との答弁(平成二十三年六月十五日の参議院東日本大震災復興特別委員会)を踏まえ、省庁の縦割りを排して、合理的かつ経済的に被災地の浄水機能を復旧させるべきと考えるが、そのための協議・検討・調整を具体的に行う主管官庁はどこか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。