質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二七〇号

国民年金第三号被保険者の障害年金の受給権に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年八月二十五日

田 村 智 子   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   国民年金第三号被保険者の障害年金の受給権に関する質問主意書

 今国会で成立した「国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律」(以下「本法律」という。)においては、第三号被保険者期間に重複する第二号被保険者期間が新たに判明し年金記録が訂正された場合等について、それに引き続く第三号被保険者期間を未届期間とするのではなく、保険料納付済期間に算入するという改正がなされた。本法律による改正後の国民年金法附則第七条の三の二の解釈について疑問があるので以下質問する。

一 従前の規定では、本法律による改正後の国民年金法附則第七条の三の二各号に該当する第三号被保険者期間は未届期間となる。もちろん第三号特例届(国民年金法附則第七条の三第二項の届のこと。以下同じ。)の届出が行われれば当該届出が行われた日以降に特例期間が保険料納付済期間に算入されることになる。しかし、障害年金に関しては、本法律による改正後の国民年金法附則第七条の三の二各号に該当する第三号被保険者期間に障害の原因となる病気や怪我に関する初診日が含まれた場合に、同条各号でいう年金記録の訂正が行われなければ障害年金の受給要件を満たしていたとしても、年金記録の訂正によって、当該第三号被保険者期間は未届期間となり、障害年金の受給要件を満たさなくなれば、障害年金は支給されない。これは第三号特例届の届出を行っても同じである。
 本法律によって、このような場合の障害年金の受給資格はどうなるか。また、本法律の施行前に本法律による改正後の国民年金法附則第七条の三の二各号に該当する年金記録の訂正がすでに行われている場合はどうなるか。

二 特別障害給付金を受給している方も含めて、いわゆる無年金障害者の方の中で本法律によって救済される方が出てくる可能性があるが、政府はしっかりとした広報をして一人でも多くの無年金障害者の方の救済をすすめるべきではないか。

三 一九八六年の年金制度改正で主婦の無年金を防止することも一つの目的として第三号被保険者制度が創設された。しかし無届けの方も多く、その救済として第三号特例届の制度ができた。ただし、第三号特例届は届出日以降に特例期間が保険料納付済期間になるので、障害年金の受給権を保障するものとなっていない。
 今回本法律において、第三号被保険者届の届出を行っていた方が、配偶者の転職などによって本人が知らないところで第一号被保険者等になり、それに引き続く第三号被保険者期間に障害を負った場合(従来は無年金)は救済されることになるが、主婦の年金受給権を保障するという第三号被保険者制度や第三号特例届の制度の趣旨をさらに徹底して、第三号被保険者の届出を行っていなかったとしても障害年金の受給権が保障されるよう国民年金法附則第七条の三の改正を行うべきではないか。

  右質問する。