質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二六三号

東日本大震災により被災した土地の買取りに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年八月十七日

熊  谷   大   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   東日本大震災により被災した土地の買取りに関する質問主意書

 東日本大震災の津波により広範囲にわたり激甚な被害を受けた地域の本格的な復興を図るためには、民間の建築敷地を含む面的整備に早期に着手し、高台移転を含む災害に強いまちづくりを推進することが求められている。政府の「東日本大震災からの復興の基本方針」においては、津波による被害等からの復興を図るため、土地利用の再編等を速やかに実現できる仕組み等を導入することとされているが、あわせて、被災して使用することができない土地の買取りに関する政府の方針を早期に明らかにすべきである。そこで、以下のとおり質問する。

一 平野東日本大震災復興対策担当大臣は、平成二十三年七月十四日の衆議院決算行政監視委員会において、被災により使用できなくなった土地の買取りについて、「一つの大きな手段である」旨答弁している。一方、六月十四日の参議院東日本大震災復興特別委員会において、鹿野農林水産大臣は、「国が被災地の復興に向けた農地の買収を行うということは現行農地法では困難である」旨答弁している。
 また、東日本大震災復興構想会議の取りまとめた「復興への提言」においては、「公的主体が被災地の土地を買い上げることには、公的負担で利用価値の乏しくなった土地を取得するという難点と、被災者が他の地域に移転した場合、地域の再生や復興には直接つながらないという難点があることに留意したい。」との記述がある。
 復興を促進する観点から公的機関が被災した土地を買い取ること(土地の買取りを国が財政的に支援することを含む。)について、政府の基本的考えを明らかにされたい。

二 現在、被災した地方公共団体において復興計画の策定が進められているところであるが、当該計画により、土地利用制限や建築規制が課され、土地の利用に著しい障害が生じる場合には、土地買取りの申出制度等の救済措置が必要とされると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 被災した土地を買い取る方策としては、個別の事業用地としての買取りや市町村が実施する防災集団移転促進事業等が考えられる。特に、防災集団移転促進事業については、市町村も震災対策による膨大な財政的負担を抱えていること、被災者も震災により資力に乏しいなかで新たな土地や住宅を取得する資金を確保する必要が生じること等の困難が予想されることから、移転促進区域内の土地取得、宅地造成に係る補助率の拡充等を図ることが必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。