質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二三九号

東日本大震災の被災地における浄水機能の復旧等の災害復旧事業のあり方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年八月二日

秋 野 公 造   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   東日本大震災の被災地における浄水機能の復旧等の災害復旧事業のあり方に関する質問主意書

 東日本大震災の被災地の復興は喫緊の課題であり、平成二十三年六月二十四日に公布・施行された「東日本大震災復興基本法」の精神に基づいて国の総力を挙げて対応していくことが求められている。しかしながら、国及び地方公共団体の財源は限られていることから、合理的かつ経済的に最大限の復旧事業を行う必要がある。
 そこで私は平成二十三年六月十五日の参議院東日本大震災復興特別委員会において、被災地において浄水機能の復旧が困難に陥っていることを例に挙げ、災害復旧事業のあり方について質疑を行った。浄水機能を持った施設である下水道と浄化槽はともに、我が国の汚水の適正処理を図り、生活環境の保全及び公衆衛生の向上に大きな役割を果たしてきた。両者はそれぞれ長所があり、一般的には人口密度が高く、かつ人口が多いところは下水道による整備を行うほうが経済的であり、一方、人口密度が低く、かつ人口が少ないところは浄化槽による整備を行うほうが経済的であると言われている。
 このようなことから、私は同委員会において、災害復旧に当たっては、下水道による整備をしてきたところは下水道によって、浄化槽による整備をしてきたところは浄化槽によってしか復旧できないと限定するのではなく、浄水機能を復旧させることに眼目を置き、地方公共団体が合理的かつ経済的に事業を選択することができるようにすべきと主張し、財務大臣の見解を質したところ、同大臣から「災害復旧に当たっては、被災施設を原状に復帰することが原則でございますので、下水道は公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、(略)浄化槽は財政援助法と、根拠法が全く異なるものですから、地方自治体が自由に選択できるようにするためには、この法律の立て付けをどうするかというところを乗り越えないと困難がある」との指摘があった。また、「東日本大震災復興基本法」を提出した衆議院東日本大震災復興特別委員会の理事から「下水道は国交省と、浄化槽は環境省といろいろ分かれておりますけれども、今回のこの復興基本法は、基本的にはその地域が、また地域の住民の意向を大事にしようと、そしてそれで復興をしていこう、復旧復興していこうというのが大きな眼目でありますから、そういう省庁の縦割りというものを排していこうというのが大きな私たちの目的でもありました」との答弁があった。
 「公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法」においては、災害復旧事業について「災害に因つて必要を生じた事業で、災害にかかつた施設を原形に復旧する(略)ことを目的とするもの」と規定されているが、被災前と同様の手法で復旧を行うならば、再び同様の災害が起きた場合に同様の被害が起きてしまうことになる。また、「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」においても災害復旧事業は原形への復旧に限定されている。
 東日本大震災からの復旧・復興、被災地域の復旧・復興、被災者の暮らしの一日も早い再生、災害に強い国土の構築のために、また財政事情が厳しい中、合理的かつ経済的に最大限の復旧事業を行うための努力として、旧来の発想にとらわれず既存の制度を見直すことは不可欠である。そこで、以下のとおり質問する。

一 「災害復旧事業」の対象について

 「東日本大震災復興基本法」の精神をふまえ、被災地の地方公共団体が合理的かつ経済的に復旧事業を行うことができるようにするため、「災害復旧事業」の対象について、「災害にかかつた施設を原形に復旧することを目的とするもの」に限定するのではなく、機能的に復旧できるのであれば、原形以外のその他の適切な施設として復旧できるよう「公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法」の改正を行うべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 「公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法」について

 「東日本大震災復興基本法」の精神をふまえ、被災地の地方公共団体が合理的かつ経済的に、また迅速に復旧事業を行うことができるようにするため、「公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法」の附則に、東日本大震災で被災した施設の復旧事業に限り、機能的に復旧することを前提として、同法に規定する公共土木施設以外の施設を代替施設として整備することができるとの規定を追加すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」について

 「東日本大震災復興基本法」の精神をふまえ、被災地の地方公共団体が合理的かつ経済的に復旧事業を行うことができるようにするため、「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」の附則に、地方公共団体は同法に規定する施設の復旧事業について、その経費の範囲内で機能的に復旧できるのであれば、公共土木施設を代替施設として整備することができるとの規定を追加すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。