質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二三七号

北方領土問題に対する政府の認識に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年七月二十六日

江 口 克 彦   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   北方領土問題に対する政府の認識に関する質問主意書

 我が国固有の領土である択捉島、国後島、色丹島、歯舞群島から成る北方領土は、第二次世界大戦終了直後、ソ連軍によって占領され、ソ連が崩壊しロシアとなった現在も不法占拠の下に置かれている。現在、北方領土には約一万七千人のロシア人が暮らしているが、島では長い間、生活に必要なインフラ(埠頭、空港、発電所、道路、病院、学校など)が手つかずのまま放置されていた。ところが、近年ロシア政府が着手した「クリル諸島社会経済発展連邦特別プログラム(二〇〇七~二〇一五年)」により、猛烈なスピードで島内のインフラ整備が進んでいる状況にある。こうした島の変化が進む中で、二〇一〇年十一月のメドヴェージェフ・ロシア大統領の国後島訪問を始め、ロシア要人の訪問が相次いで行われている。しかし、菅内閣総理大臣を始め、日本政府は「遺憾である」、「我が国の立場、国民感情から受け入れられない」と抗議する程度であり、この抗議にすらロシア側は反発し領土交渉に対する姿勢がより強硬なものとなるなど、日露間では北方領土問題解決の糸口すら見えていない状況となっている。
 そこで以下のとおり質問する。

一 メドヴェージェフ・ロシア大統領の国後島訪問に対する具体的な対抗措置として、菅内閣総理大臣自らが北方領土の地に足を踏み入れ島内を視察すべきと考えるが、その予定はないのか明らかにされたい。また、枝野沖縄及び北方対策担当大臣及び松本外務大臣も北方領土問題を担当する大臣として同様に自ら北方領土の地に足を踏み入れ島内を視察すべきと考えるが、その予定はないのか明らかにされたい。

二 北方領土の元居住者が島に残した財産については、終戦時から今日に至るまで、利用はもとよりその保全すらできない状況にあり、この間の損失は計り知れないものがある。こうした特殊な事情や、高齢な元居住者には多くの時間が残されていないという厳しい現実を踏まえ、元居住者に対する何らかの支援策が必要と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 民主党政権になって以降、北方領土問題に対するロシア側の強硬姿勢が増長され、日露間の立場に大きな開きが生じていると考えるが、政府は、この状況を改善し、領土交渉を進展させるため、言葉による抗議声明や申入れ以外にどのような戦略的プランを持っているか。また、領土交渉の見通し、スケジュールについて、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。