質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二三五号

介護職員等によるインスリン注射等の実施に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年七月二十一日

横 山 信 一   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   介護職員等によるインスリン注射等の実施に関する質問主意書

 平成二十三年六月十五日、介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律が成立し、介護職員等によるたんの吸引等の実施が法律上認められることとなった。
 他方、糖尿病のインスリン注射については、本人及び家族による実施は認められているものの、医療行為であるとして介護職員等が行うことは認められていない。しかし、特別養護老人ホームやグループホーム等の福祉施設においては看護師が常駐しておらず、インスリン注射を始め医療ニーズの高い入所者が増える中、看護師が入所者の状態に応じて一日に複数回のインスリン注射を行うのは困難となっている。昨年には、自分でインスリン注射を打てない入所者に長年にわたり介護職員が無資格で注射を行っていたケアホームの事例が報道され、社会問題化した。さらに、今日独居老人は五百万人を超えている。今後高齢化の進展により認知症等により自己注射が困難な高齢者が増大することが見込まれ、施設のみならず在宅においても、高齢者が安心して、安全なインスリン注射を受けることができる体制整備が求められている。こうした状況を踏まえ、以下のとおり質問する。

一 介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律による改正後の社会福祉士及び介護福祉士法第二条における「喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるもの」として厚生労働省令で定めるものについて、何を予定しているか。現時点での方針及び将来的にインスリン注射が対象となる可能性について示されたい。

二 「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」(平成二十二年六月二十九日閣議決定)及び「介護・看護人材の確保と活用について」(平成二十二年九月二十六日総理指示)において、介護職員等が実施できるよう検討することとされた「たん(の)吸引や経管栄養等」の「等」は何を指すのか、具体的に示されたい。

三 厚生労働省の「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」の中間まとめ(平成二十二年十二月十三日)では、「まずは、たんの吸引及び経管栄養を対象として制度化を行うが、将来的な拡大の可能性も視野に入れた仕組みとする」とされている。今後、インスリン注射についても、一定の資格や研修を前提に介護職員等が実施できるよう対象を拡大していく考えはあるか。

  右質問する。