質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二〇九号

検定通過の中学校用教科書の記述に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年六月二十二日

山 谷 え り 子   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   検定通過の中学校用教科書の記述に関する質問主意書

 今春、検定を通過した中学校用教科書については、今夏に全国の教育委員会・私立中学校において、使用する教科書を選ぶ「教科書採択」が行われる。
 平成十八年に教育基本法が改正されて以来、初の教科書検定となり、同法に則った質の高い教科書で子供たちが学べることを期待しているところである。しかしながら、検定を通過した中学校用教科書の中に、朝鮮人の徴用について、従来政府が発表していた内容と異なる記述がある。
 そこで、以下質問する。

一 朝鮮人徴用労務者が導入されたのは、いつからいつの間か。

二 日本政府は、昭和二十一年三月にGHQ指令に基づいて、六十五万人の残留朝鮮人に帰還希望の有無を聞いたとされているが、どのような方法で希望を聞いたのか。

三 残留朝鮮人のうち帰還希望者には、日本政府により便宜が与えられ、引きあげの配船もなされたとされているが、どのような形で、どのくらいの者が引きあげたのか。

四 外務省発表集第十号の五十一頁(記事資料昭和三十四年七月十一日)では、在日朝鮮人の外国人登録票について、渡来の事情を調査した結果、戦時中に徴用労務者としてきたものは二百四十五人にすぎないことが明らかとなったとされているが、この調査は今も有効か。

五 検定を通過した中学校用教科書の中には、「二〇〇八年現在、日本には五十九万人の在日韓国・朝鮮人の人たちがくらしています。この人たちの多くは、一九一〇年の日本の韓国併合による植民地統治の時代に、日本へ移住を余儀なくされた人たちや、意思に反して日本に連れてこられて働かされた人たちとその子孫です」と記されているものがある。これは、四に記した外務省発表集の内容と異なると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。