質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一九九号

内閣総理大臣の選出と国民主権、憲法第十五条第一項との関係に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年六月十五日

熊谷 大   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   内閣総理大臣の選出と国民主権、憲法第十五条第一項との関係に関する質問主意書

 議院内閣制を採用する憲法においては、内閣総理大臣は、議会の多数派から選出される。国民と議会を媒介するのは、政党であり、政党は、憲法上予定された存在として、国家意思の形成に主導的な役割が期待されている。このような状況下では、政党を代表する者の選挙は、衆参両院での内閣総理大臣の指名選挙の前段階に位置付けられると考える。
 他方、憲法は、国民主権を基本原理とし、第十五条第一項において「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と定め、国民に参政権を保障する。
 同項の意義に関しては、最高裁判所平成七年二月二十八日判決で、「憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考えると、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならないところ、主権が「日本国民」に存するものとする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。そうとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。」と示された。
 以上を踏まえて、次の点について質問する。

一 民主党の代表選挙は、内閣総理大臣を実質的に選ぶこととなるものとして実施されている。民主党のホームページによれば、代表選挙では、党員・サポーターに投票権が一票付与される。同党の党員・サポーターについては、「党員は党の基本理念・政策に賛同する一八歳以上の個人(在外邦人および在日の外国人を含む)で年間六〇〇〇円の党費を納め、規約および規定に基づき、党の運営と活動等の決定に参画できます。サポーターは党あるいは党候補者を支援する一八歳以上の個人(在外邦人および在日外国人を含む)で年間二〇〇〇円の会費を納め、党の活動等に参画できる党の応援団という位置づけです。」とされ、国政選挙の参政権を有しない在日外国人が党員・サポーターになることを排除していない。
 民主党の代表選挙に在日外国人が参加することを認めるのは、在日外国人に参政権を付与するに等しいと考えるが、この考えについて政府はどう考えるか、その見解を明らかにされたい。

二 政党の位置付けに鑑みれば、一般論として政党の代表は、内閣総理大臣の指名を受ける可能性を有しており、在日外国人がその選挙への投票権を有することは、国民主権、憲法第十五条第一項に違反すると考えるが、政府の憲法認識はどうか、その見解を明らかにされたい。

  右質問する。