質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一五〇号

米軍キャンプ朝霞跡地への国家公務員宿舎建設事業再開に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年五月十一日

又市 征治   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   米軍キャンプ朝霞跡地への国家公務員宿舎建設事業再開に関する質問主意書

 米軍キャンプ朝霞跡地(十九・四ヘクタール)への国家公務員宿舎(八百五十戸。以下「朝霞住宅」という。)建設事業については、二〇〇九年十一月の行政刷新会議の「事業仕分け」において、仕分け人全員一致で「見直し・凍結」と評価された。その評価結果を踏まえ、凍結された国家公務員宿舎は、計画中も合わせ合計二十五事案約七千七百戸に上った。
 昨年九月、財務省は「PRE戦略検討会」を開催し、「公務員宿舎の在り方」についても検討された。同年十二月二十四日、財務省は「事業凍結中のPFI契約済公務員宿舎三事案について」を発表し、地元住民の反対がなかった稲毛海岸住宅は事業中止とした一方、地元住民の多数が反対する朝霞住宅は事業再開と判断された。
 「事業仕分け」における論議の中心は朝霞住宅であった。建設予定地の米軍キャンプ朝霞跡地にはまとまった豊かな広葉樹の平地林が再生しつつあり、貴重な緑をつぶしてまで公務員宿舎を建設する必要性はないとの声が上がり、枝野幸男統括仕分け人(当時)も「緑が残るというのは国民にとっての価値」とさえ評価した。
 また、本年一月二十四日の施政方針演説で菅直人首相は「一円の無駄も見逃さない姿勢で事業仕分けを深化させます」と述べている。「有言実行内閣」として、税金無駄遣いと批判の多い公務員宿舎建設事業再開を撤回し、事業中止とすることこそ、国民が望むものと考える。よって以下のとおり質問する。

一 昨年十二月二十四日、財務省は「事業凍結中のPFI契約済公務員宿舎三事案について」を公表し、その中で「「国有財産行政におけるPRE戦略について」の取りまとめを踏まえて個別事案毎に総合的に判断した結果、朝霞住宅及び方南町住宅については事業再開、稲毛海岸住宅については事業中止することとし」たと発表した。この文書では「総合的に判断した」中身が明らかにされていない。どのような具体的理由で「朝霞住宅及び方南町住宅」の事業が再開されるに至ったのか明らかにされたい。

二 二〇〇九年十一月二十七日の行政刷新会議における「事業仕分け」において「公務員宿舎建設等に必要な経費等」は、「見直しを行う」という評価結果が出されている。その後、「朝霞住宅及び方南町住宅」の建設についてどのような見直しが行われたのか具体的に明らかにされたい。

三 米軍キャンプ朝霞跡地への国家公務員宿舎建設は「東京二十三区内に所在する国家公務員宿舎の移転・再配置と跡地利用に関する報告書」(二〇〇六年六月)等に基づき、「国より都心の国家公務員宿舎の一部を売却し、郊外に移転する計画が示され、キャンプ朝霞跡地も移転先の候補地となった」(広報あさか二〇〇七年七月)ものであり、財務省からもその旨の説明があった。今回新たに開催された「PRE戦略検討会」において「公務員宿舎の今後の在り方」が示されたが、朝霞住宅については、設置目的が変更されたのか、変更されたなら地元自治体にいつ説明し、誰に了承を得たのか明らかにされたい。

四 従前、朝霞住宅は主に霞ヶ関への通勤者用と財務省は説明していたが、その考えに変更はないか、変更があったとすれば、どこに勤務する公務員を対象にしているか具体的に示されたい。

五 昨年十二月、財務省が発表した「公務員宿舎の今後の在り方」のなかで、新規建設容認の条件として「宿舎の規格について、若手等職員向けを基本とし、原則として幹部用の高規格は建設しない」とされているが、「若手等職員」及び「幹部用の高規格」の具体的定義を示されたい。

六 昨年十二月、財務省が発表した「公務員宿舎の今後の在り方」のなかで、「宿舎用地については、土地の市場価値と通勤時間等を勘案して選定」とされているが、朝霞住宅から主な勤務先までの通勤時間は何分か、朝霞住宅は主に緊急対応者用か、国会対応等のための早朝・深夜勤務対応者は含まないのか、朝霞住宅の在り方を示されたい。

七 東日本大震災の被災県の復興には膨大な予算が必要とされる。国政の最優先課題は被災者救援、被災地の復興である。財政が厳しいなかで国家公務員宿舎建設事業の優先順位はまったく低く、国家公務員宿舎建設事業を中止し、建設のための予算を被災地の復興に回す決断をするべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。