質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一四九号

観光施策の見直しに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年五月十日

加藤 修一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   観光施策の見直しに関する質問主意書

 訪日観光客の拡大については、政府の新成長戦略の柱とされ、その方向性については公明党としても認識を共有する点も少なくない。しかし昨二〇一〇年、我が国への外国人旅行者数は八百六十一万人にとどまり、観光立国推進基本法に基づき策定された観光立国推進基本計画に掲げる二〇一〇年の年間目標一千万人は結局未達成に終わっている。
 さらに本年三月十一日、未曾有の東日本大震災が東北・関東地方を突如襲い、訪日観光をめぐる環境は一変した。自粛ムード一色の観光業界はかつてない深刻な打撃を受けている。
 にもかかわらず、民主党政権は「訪日外国人三千万人プログラム」を掲げたまま立ち尽くしている。海外メディアから大震災と原発事故の映像と解説が繰り返し報道され、あたかも日本全体が「危険な列島」として発信され続けているが、政府としてこうした緊急事態に対応する観光立国戦略が打ち出せていない。
 そもそも現政権には机上の目標のみあって、平成二十三年度観光庁予算では新規事業がほとんどみられないなど、目標達成のための戦略と具体的な施策に乏しい。
 そこで、特段に注力すべき震災後の観光施策について、以下質問する。

一 訪日旅行者目標の見直しについて

 政府は「訪日外国人三千万人プログラム」において、「二〇一三年千五百万人」「二〇一六年二千万人」「二〇一九年二千五百万人」の年間目標を明らかにしている。
1 本年一月、観光庁は訪日旅行者を本年中に二百四十万人増やし年間千百万人とする目標を打ち出した。もっとも昨年並みの二十七パーセント増を実現したとしても、この千百万人という数字には達しない。まして、大震災を受けた現時点では、観光庁として千百万人という目標の見直しは避けられないと考えるが、同目標を撤回するのか、見解を示されたい。
2 大震災と福島原発事故の被災で在日外国人さえ避難帰国が続出するなか、昨年並みの八百六十万人の維持すら困難ではないかとの危惧が広がっている。特に千百万人の訪日を期待してきた関係者においては、集客急減の影響により深刻な経営危機を招くおそれが強い。現に一部は経営危機の事態に陥っている。
 少なくとも政府として、こうした集客急減に対応して平成二十三年度観光庁予算上の施策の変更もしくは緊急対策を実行しテコ入れを図る必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。
3 「二〇一一年の年間目標千百万人」以降も、「訪日外国人三千万人プログラム」は、二〇一三年までの二年間に四百万人、二〇一六年までの三年間に五百万人、二〇一九年までの三年間に五百万人と、訪日旅行者の一本調子の急増を掲げている。しかし、二〇一一年の年間目標千百万人の達成さえあやぶまれるなか、「訪日外国人三千万人プログラム」の大幅な見直しは避けられないと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 観光庁予算の事業仕分けについて

1 政府は昨年十一月、平成二十三年度観光庁概算要求のすべての「新規事業」を対象に事業仕分けを行い、「廃止」や予算の「半減」「縮減」「計上見送り」「抜本的な事業見直し」などの結論を出したと言われている。同事業仕分けによって、概算要求時点から変更もしくは廃止された新規事業名とその事業内容を明らかにされたい。
2 1の事業仕分けの結果、政府は平成二十三年度観光庁予算を対前年度比二十パーセントも減額した。特に「訪日旅行促進事業(ビジット・ジャパン事業)」など海外向け予算を三割(対前年度比)も削減し、観光を核とした地域の再生をはかるための「観光地域づくりプラットフォーム支援事業」は半減(同)してしまった。
 これらの事業は大震災後の諸外国における「危険な日本」イメージを払拭するのに最も必要な施策であり、前年度と同等の予算額を確保すべきと考える。また同時に「危険な日本」イメージを払拭するためのより一層の強化策を講ずべきと思うが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。