質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一三九号

温室効果ガス排出量の削減目標と原子力発電のコストに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年五月二日

浜田 和幸   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   温室効果ガス排出量の削減目標と原子力発電のコストに関する質問主意書

 平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災により、福島第一原子力発電所から放射性物質が外部に漏れだす事故が発生し、現在も周辺地域に大きな影響を及ぼしている。
 他方、平成二十一年九月、鳩山由紀夫内閣総理大臣(当時)は、地球温暖化対策の一環として、平成三十二年の時点で、平成二年との比較で温室効果ガスの排出量を二十五パーセント削減するという目標を示していた。
 そこで以下のとおり質問する。

一 政府は、平成二十一年当時、今後原子力発電を推進するという前提のもと、温室効果ガス排出量の二十五パーセント削減という目標を掲げたのか。政府の見解を示されたい。

二 原子力発電を推進しない限り、温室効果ガス排出量の二十五パーセント削減という目標を達成するのは困難であると思料されるが、東日本大震災及びこれに伴う福島第一原子力発電所の事故を踏まえると、原子力発電の推進は困難であると思料される。折しも、平成二十三年四月三日から同月八日にかけて、タイのバンコクにて国連気候変動枠組条約及び京都議定書の下の特別作業部会等が開催された。政府は、かかる部会等において、東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故に伴う状況変化を踏まえ、我が国の温室効果ガス削減義務ないし削減目標についての撤回ないし猶予を求めたのか。撤回ないし猶予を求めたあるいは求めなかった理由を含めて明らかにされたい。

三 政府は、平成二十一年に掲げた温室効果ガス排出量の二十五パーセント削減という目標を撤回するつもりはあるのか。政府の見解を示されたい。

四 温室効果ガス排出量を二十五パーセント削減できないことと、原子力発電所事故により、福島第一原子力発電所の事故の場合と同量の放射性物質を外部に放出させることのいずれが地球環境に対する負荷としてより大きいと考えているのか。政府の見解を示されたい。

五 原子力発電所事故に伴う補償費用又はかかる費用の支払を保障する無限責任の保険に加入した場合の保険料を発電コストに組み込んだ場合、原子力発電の発電コストは、太陽光発電、風力発電、地熱発電、波力発電等の新エネルギーの発電コストよりも高くなるのではないか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。