質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一一三号

中小水力発電開発事業の推進に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年三月九日

横山 信一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   中小水力発電開発事業の推進に関する質問主意書

 地球温暖化問題の解決に向けて、二酸化炭素の排出をできるだけ抑える低炭素社会の構築が求められており、その手段として再生可能エネルギーの利用拡大が不可欠である。こうした中、太陽光発電、風力発電、中小水力発電等の再生可能エネルギーによる発電の拡大が図られてきたものの、その開発はまだ途上にある。とりわけ、出力千キロワット以下の中小水力発電は、河川、農業用水、上下水道など既存の水の流れを利用することで、環境を破壊することなく、従前は利用されていないエネルギーの有効活用にもなると期待されている。しかし、中小水力発電については、技術的に開発可能な地点が多いにもかかわらず、その普及は十分に進んでいない。
 そこで、中小水力発電の一層の導入拡大を求める観点から、以下のとおり質問する。

一 政府は中小水力発電の導入拡大について、エネルギー政策においてどのように位置付けているのか。また、その導入の実績をどのように評価しているのか。

二 政府はこれまで、中小水力発電を含む新エネルギーによる発電事業について「新エネルギー等導入加速化支援対策費補助金」を交付してきた。しかし、平成二十一年十一月に行われた「事業仕分け」において、同補助金の予算を半減すべきとの指摘がなされ、経過的措置以外の補助金は廃止されることになった。このため、中小水力発電の新設にあたっては一億円程度の整備費を事業者が全額負担することになった。設置後は全量買取制度があるといっても、整備費の償却には稼働率に応じた相当期間が必要であり、中小水力発電開発の取組を後退させる懸念がある。そこで、再生可能エネルギーの利用拡大と地球温暖化対策のために、新エネルギー等導入加速化支援対策費補助金に係る既存事業が終了する際には、同補助金制度の存続の検討も含め柔軟に対応すべきと考えるがどうか。

三 中小水力発電開発において、最も期待されているのは農業水利施設の利用である。農業用水路の未利用エネルギーは約八・八万キロワットと試算されており、これは一般家庭約九・五万戸分に相当する電力である。農業用水路の利用は、環境対策にとどまらず農業水利施設の維持管理費の低減など農業の体質強化につながるものと期待されている。そこで、これまでの地域用水環境整備事業によって整備された地域での農業水利施設の維持管理費の節減効果の実態はどうなっているか。

四 中小水力発電の効率性を考慮すると、年間稼働率が高いほど全量買取制度の効果が大きい。しかし、東北・北海道のような積雪寒冷地では、冬期間の効率的稼働が難しいため普及が進まない現状がある。全量買取制度を推進するにあたり、積雪寒冷地のような条件不利地域に対し、何らかの対策が必要と考えるがどうか。

五 中小水力発電の導入を拡大していくためには、水利権等に関する手続を簡素化するなど行政手続に関する環境整備が求められている。政府は中小水力発電の導入拡大に今後どのように取り組んでいくのか。

  右質問する。