質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第七〇号

鳩山由紀夫前内閣総理大臣による「抑止力は方便」発言に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年二月十六日

佐藤 正久   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   鳩山由紀夫前内閣総理大臣による「抑止力は方便」発言に関する質問主意書

 鳩山由紀夫前内閣総理大臣が沖縄の地元紙のインタビューに対し、昨年五月に米軍普天間飛行場の県外移設を断念した理由として、在沖米海兵隊の抑止力の重要性を挙げたことについて「辺野古に戻らざるを得ない苦しい中で理屈付けしなければならず、考えあぐねて「抑止力」という言葉を使った。方便と言われれば方便だった」と語った、と二月十三日付け「沖縄タイムス」「琉球新報」等によって報じられている。
 昨年五月当時、鳩山前総理大臣は「学べば学ぶほど(海兵隊の各部隊が)連携し抑止力を維持していることが分かった」と語った。その言葉はメディアなどを通じて広く国民に伝えられ、米軍普天間飛行場の移設先を名護市辺野古にするとした日米合意の合理性を訴えるものであったと認識していた。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 今回の「方便」発言は、沖縄県民及び米国を愚弄するものであり、前職とはいえ日米合意当時、内閣総理大臣の職責にあった者の発言としては認容し難く、また米軍普天間飛行場の移設先を名護市辺野古にするとした日米合意を覆しかねないものであると危惧するものであるが、政府の見解如何。

二 今回の「方便」発言によって明らかとなった鳩山前総理大臣の認識と、当時、副総理であった菅内閣総理大臣、同じく沖縄担当大臣であった前原外務大臣、また北澤防衛大臣ら閣内にいた者の認識は共通のものであったのか。

三 今回のインタビューにおいて、鳩山前総理大臣は「海兵隊自身が存在することが戦争の抑止になると、直接そういうわけではないと思う」とも語っているが、この発言に対する政府の見解如何。

四 鳩山前総理大臣は「米国は沖縄にいることでパラダイスのような居心地の良さを感じている」とも語っているが、これは、わが国の安全または極東の平和及び安全に対する脅威が生じた場合には、血を流す覚悟をもって、遠い異国の地に駐留している将兵及びその家族を貶める発言であると認識せざるを得ない。政府の見解如何。

  右質問する。