質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第五一号

竹島問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年二月九日

亀井 亜紀子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   竹島問題に関する質問主意書

 竹島問題について、以下のとおり質問する。

一 「我が国固有の領土」である竹島に、韓国は「海洋科学基地建設」や「防波堤(約百五十メートル)」、四十名が宿伯できる宿舎の建設(現在進行中)などの計画を着実に進めている。韓国の本年一月二十四日付けの一部報道によれば、竹島(西島)の北側約一キロメートルの地点に、三百七十三億ウォンをかけて「海洋科学基地」を設置するため、間もなく工事に関する入札方法等を公告するということである。以上の報道内容を日本政府は承知しているか。承知しているとすれば、即刻中止させるべきと考えるが、政府の方針如何。

二 一のような事態が生じないよう、約一年前、「竹島問題に関する再質問主意書」(第一七四回国会質問第一四号。平成二十二年二月四日提出)において一と同様の質問をしたところ、政府は「外交上の個別のやり取りについて明らかにすることは、韓国との関係もあり差し控えたい」との答弁書(内閣参質一七四第一四号)を閣議決定した。以上の経過に鑑み、この一年間、政府は、むしろ「海洋科学基地建設」問題を放置してきたのではないか。放置していないとすれば、どのような対策を講じたのか。また、本年一月十五日、前原外務大臣が訪韓し、外相会談をした際、議題として竹島問題を取り上げたか。取り上げたのならその会談内容を、取り上げなかったのならその理由を明らかにされたい。

三 「海洋科学基地建設」工事が「執行」されれば、事実上、韓国の不法占拠を容認したことになり、我が国の領有権が完全に奪われてしまうのではないかと危惧する。工事の「執行」停止ではなく、即刻「公告」を中止させるべきと考えるが、政府の方針如何。

四 政府は昨年十一月十四日に日韓図書協定を「署名」したにもかかわらず、その後、韓国が、一のような計画を一方的に進めている状況に鑑みると、竹島問題だけがむしろ後退しているのではないかと危惧する。日韓図書協定を「承認」しない状況を外交上のカードにして、「公告」を中止させるべきと考えるが、政府の方針如何。

五 韓国には、次のような、戦前日本が朝鮮半島に持ち込んだ日本の貴重図書及び公文書類がある。

(1) 国立中央図書館(日本古典籍一万二千九百二十五種・四万六千八十九冊)
 (漢籍を含む一万五千九百六十三種・八万五千九百五十三冊)
(2) 国立ソウル大学図書館(日本古典籍二千八百八十種)
(3) 国家記録院(朝鮮総督府公文書約一万四千冊)
(4) 国史編纂委員会(「対馬宗家文書」二万八千七百四十一点)
 また、日本と韓国は一九六五年六月二十二日、日韓基本条約を締結し、「文化財及び文化協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」に調印した。これにより文化財に対する一応の問題処理がなされ、この種の問題は封印されていたはずである。
 以上より、あえて朝鮮王室儀軌を韓国に引き渡す理由はどこにあるのか。

六 一度外国が領土の一部を不法占拠し、それに対する有効な抗議を怠れば、不法占拠が既成事実化され、ひいては領有権も奪われてしまうとの評価がある。政府の見解如何。

七 尖閣諸島に関連して、香港の雑誌「亜洲週刊」(二〇一〇年九月二十六日号)は、「韓国が日本から竹島を奪還した貴重な経験に学べば」、「失った魚釣島を回復するのも夢ではない」とした。その後、昨年十一月一日、ロシアのメドベージェフ大統領は北方領土である国後島を訪問するが、これは同年九月二十七日、中国を訪問したメドベージェフ大統領が胡錦濤国家主席と「第二次世界大戦終結六十五周年に関する共同声明」を発表したこととも関連している。竹島問題の解決を怠っている現状が尖閣問題に影響を与え、ロシアが北方領土問題で強気に出る背景ともなっているとの評価がある。政府の見解如何。

八 尖閣問題、北方領土問題及び竹島問題など、国家主権の根幹に関わる問題が存在する以上、包括的・一体的な政策を実施する必要があると考える。

1 尖閣問題、竹島問題を一つの部署で管轄するため、政府に尖閣問題及び竹島問題に関する専門部署及び特命担当大臣を設置すべきと考えるが、政府の方針如何。
2 具体的には、北方領土問題については内閣府に部署(北方対策本部)を設置しているところ、竹島問題についても、北方領土問題と同等の職務権限を付与する部署を、内閣府に設置すべきと考えるが、政府の方針如何。
3 少なくとも、北方領土問題と同じ部署に竹島問題担当の職員を配置すべきと考えるが、政府の方針如何。

九 韓国が以下のような検討を行っている中で、政府は義務教育及び高等学校教育下における教科書記述に関し、教科書または学習指導要領の解説書に竹島問題を記載する考えはあるか。

(1) 韓国の複数の報道によると、本年一月二十六日、韓国の教育科学部は、「歴史教育強化のための検討案」を確定した。
(2) 検討案では、「国家アイデンティティおよび民族意識と関連する国史教育の特殊性および独島問題など周辺国との持続的な歴史わい曲紛争が深刻化する情勢を勘案し、高等学校の韓国史科目を必須化する方案を検討することが必要」としている。
(3) そのため「初・中等教員の歴史観育成のために二〇一三年からすべての教科の新規教員任用試験時に「韓国史能力検定試験三級以上」認証取得者に限り試験受験資格を付与する方案も検討」するとしている。
 また、韓国がこのような対抗措置をとるのは、二〇〇八年七月、文部科学省が中学校社会科の学習指導要領解説書に竹島問題を記載したことが発端となっている。日本政府としては、韓国のこのような対抗措置に対し、どのような認識を持ち、どう対処するのか。その方策を示されたい。

  右質問する。