質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第三九号

事業仕分けの意義に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年二月二日

加藤 修一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   事業仕分けの意義に関する質問主意書

 一昨年来の事業仕分け第一弾、第二弾、そしてそれに次ぐ第三弾の仕分け作業そのものについて、「今まで国民に見えなかった予算編成過程を明らかにし、行政の透明性を高め、無駄の根絶を図るという事業仕分けの意義を損なうおそれ」(平成二十二年十一月九日付け行政刷新会議文書)との観点から見解を質す。特に、昨年十月から開始された事業仕分け第三弾の再仕分けにおいては、過去の政権の決算ではなく、実質的に民主党政権として初めて編成した平成二十三年度概算要求についても仕分けを実施している。しかも、民主党政権自ら考案した新規事業に対しても、廃止や予算計上見送りなどの判定を行っている。これらの仕分け作業は財務省の主導とも指摘されてきたが、判定は予算の査定そのものであり、財務省の査定作業と重複するものである。手間をかけて財務省と同じ作業を行うことは、政治家の歳費、民間仕分け人の人件費などの無駄遣いであり、「無駄の根絶を図る」という事業仕分けの意義の対極にあるものである。もし、無駄遣いでないというのであれば無意味な混乱を招いたと言わざるを得ない。行政刷新会議そのものを対象に、事業仕分けを行うべきと考える。事業仕分けに関しては、群馬県下の住民からも行政の予見可能性が担保されないなどの不安、不満が沸き起こっている。
 以上の観点から質問する。

一 行政刷新会議の法的根拠について

 行政刷新会議の設置については、閣議決定によって「国民的な観点から、国の予算、制度その他国の行政全般の在り方を刷新するとともに、国、地方公共団体及び民間の役割の在り方の見直しを行うため、内閣府に行政刷新会議を設置する」とされているが、法的根拠はあるのか。あるのであれば、その根拠法を示されたい。もし、内閣府設置法というのであれば、第何条に当たるのか。
 また、現在、根拠法がないというのであれば、行政刷新会議による決定は、内閣全体においていかなる位置づけ、効力を持っているのか。今後、根拠法の策定を考えているのであれば、当該法案をいつ国会に提出する予定なのか。

二 閣議決定された事業に対する事業仕分けについて

 事業仕分けの対象となった事業の中には、以前に閣議決定された事業もあるが、閣議決定されたということは、内閣としての最高意思決定であり、内閣を形成する国務大臣としての行政刷新担当大臣も署名・承認したことを意味する。このように署名・承認された事業について改めて事業仕分けをすることは一貫性が担保されておらず、論理的でなく、閣議決定による一定の予見可能性についても担保されなくなると考えるが、これについて政府はいかなる見解を持っているのか。
 また、事業仕分けにおいて廃止と判定されたにもかかわらず最終的に実施することとした事業に関して、意思決定の際の評価軸は、誰が、どのように決定しているのか。さらに、平成二十三年度概算要求の時点、再仕分けの時点、平成二十三年度予算案の決定の時点の、各段階を通じて政府・与党全体の意思決定の流れはどのようになっているのかを説明されたい。

三 事業仕分けの実施に要した事業費の金額について

 事業仕分け第一弾、第二弾の実施に要した事業費について、それぞれ明らかにされたい。また、事業仕分け第三弾(前半・後半)の実施に要した総事業費と仕分け人の人件費、会場施設費など内訳別の金額について、明らかにされたい。

四 事業仕分け第一弾、第二弾の成果について

 事業仕分け第一弾、第二弾での判定によって、仕分け対象事業はそれぞれどうなったのか。その結果と成果(事業見直しによる節減効果等)を明らかにされたい。

五 第一弾から第三弾の事業仕分けに関する自己点検の方針について

 事業仕分け第一弾、第二弾、第三弾の仕分け作業そのものを自己点検すべきと考えるが、今後の事業仕分けの見直しに関する方針について、事業仕分けを実施した担当部局(行政刷新会議事務局)の見解を示されたい。

六 財務省の予算査定作業と事業仕分けとの重複及び矛盾について

 事業仕分け第三弾の再仕分けにおいては、未実施の事業、すなわち平成二十三年度概算要求に盛られた新規事業に対し、「廃止」もしくは「予算計上見送り」などの判定が行われた。これにより、概算要求省庁の作業が無に帰するとともに、財務省の予算査定作業と重複するという無駄を発生させている。まだ実施されてもいない事業に対し、「廃止」もしくは「予算計上見送り」と判定した理由を明らかにされたい。

七 事業仕分けの見直しを求める政務三役の処遇について

 森田高総務大臣政務官は平成二十二年十一月十五日の事業仕分けにおいて、総務省所管の事業が廃止と判定されたことを踏まえて、廃止と判定された同省の「フューチャースクール推進事業」が閣議決定に基づくものだと強調し、その上で、「閣議決定は最上位の決定だ。そこでやっているものをつぶすのは論法的にあり得るのか」と不満を示した。これに対して菅直人内閣総理大臣は、事業仕分けの判定について「役割は今回で終えてしかるべきだ」、「国民に判断してもらわないといけない」などと反発した政務三役らを指して、「仕事を代わってもらわないといけない」と更迭を指示したと言われる。
 このことは再仕分け終了後の民放番組で行政刷新担当大臣が明らかにしているが、当該指示について、指示をした場所、日時、内容などを明らかにするとともに、本年一月の第二次内閣改造において、当該指示にしたがって大臣政務官人事がなされた事実があるかどうか示されたい。

八 事業仕分けの続行方針について

 事業仕分けの判定結果については、関係者の間でも不公平感があるなど多くの異論があり、国民から見ても判定結果の評価が見えにくいだけでなく、民主党政権が要求した予算を自らが「廃止」と判定するという矛盾を国民に説明できていない。このような事業仕分けを平成二十三年度以降も続行する方針なのか、内閣としての見解を示されたい。

  右質問する。