質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第三六号

菅首相の施政方針演説に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年一月三十一日

山谷 えり子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   菅首相の施政方針演説に関する質問主意書

 平成二十三年一月二十四日に衆参両院本会議で行われた、菅首相の施政方針演説につき、以下のとおり質問する。

一 「内閣の大方針である地域主権改革の推進です」と述べているが、本来、主権は国家にあり、「地域主権」の表現は問題があると考えるが、政府の見解を示されたい。また、民主党政権下で地域主権を推進していく際、安全保障やエネルギー分野などについても地域主権の枠組みとして捉えるのか。さらに、「地域主権に対する慎重論を吹き飛ばしていきましょう」と述べているが、慎重論とは具体的にどのような意見をさすのかと、なぜそのような慎重論が波及していると考えるのかについて示されたい。

二 「硫黄島からの遺骨帰還のための特命チーム」が調査した結果、「新たな集団埋葬地を見つけることができました」と述べているが、今回明らかとなった埋葬地の場所と、そこに埋葬されていると思われる遺骨の御柱数について示されたい。また、現在自衛隊が使用している滑走路下に埋葬地があるとも言われているが、滑走路下の調査結果と、そこに埋葬地があった場合の遺骨帰還にかかる費用についても示されたい。
 さらに、硫黄島からの遺骨帰還のためのボランティアを増員する場合、どのように募集するのか。計画とスケジュールについて示されたい。

三 北朝鮮問題に関し、「国の責任において、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現する」と述べているが、有事の際の朝鮮半島における混乱下から邦人救出を行うためには、自衛隊法を改正し、万全の準備を整えておくことが肝要と考えるが、政府の見解を示されたい。加えて、平成二十二年十二月十日、菅首相は拉致被害者家族との懇親会の席上、「万一のとき、拉致被害者をいかに救出できるか準備を考えておかなければならない」と述べ、さらに翌十一日には「拉致被害者はもちろん、韓国にたくさんいる一般の邦人を、民間機(での輸送)が危なくなった場合に自衛隊機で救出するルールができていない。これから韓国との間で相談を始めたい」と北朝鮮有事の際の拉致被害者救出策を検討していることに言及したが、その後の取組はどのようになっているのか。

四 今回の施政方針演説の中で、尖閣諸島における中国漁船衝突事件に係る一連の問題やロシア大統領の北方領土訪問など、国民の最も関心の高い領土問題に全く言及していないのは何故か。「国民の生活が第一」というのであれば、領土を守ることは最重要ではないか。

  右質問する。