質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第三三号

子ども手当における地方負担をめぐる混乱に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年一月三十一日

浜田 昌良   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   子ども手当における地方負担をめぐる混乱に関する質問主意書

 民主党は先の衆議院選挙の際、全額国庫負担の「子ども手当」をマニフェストの目玉にしておきながら、政権交代後の民主党政権は平成二十二年度に従来の児童手当の修正の形でこれを実施し地方負担を求めた。さらに、平成二十三年度においても地方からの是正要望を無視して、当該地方負担を存続しようとしている。これに対し、横浜市、川崎市等、神奈川県内の多くの市町村が反発し、当該地方負担を拒否する予算案を各議会に提案するという混乱を招いている。このような中、昨年十二月十日及び同月二十七日には神奈川県から、地方財政法第十三条第二項の規定に基づき、国会両院議長宛の「子ども手当の支給に要する費用の県費負担に係る意見書」(以下「神奈川県意見書」という。)が内閣に提出されている。また、本年一月二十一日には神奈川県町村会から、子ども手当を全額国庫負担とするよう修正を強く求める緊急要望書が提出されている。
 そこで、以下質問する。

一 政府が平成二十二年度から子ども手当を実施したことは、地方財政法第十三条第一項に規定する「地方公共団体又はその経費を地方公共団体が負担する国の機関が法律又は政令に基づいて新たな事務を行う義務を負う場合」に当たるのか。その理由とともに明確に示されたい。当たるのであれば、神奈川県意見書は何時ごろ内閣の意見を添えて国会に提出されることになるのか、具体的見通しを明確にされたい。

二 地方財政法第二十一条第一項では、地方公共団体の負担を伴う法律案については、閣議を求める前にあらかじめ総務大臣の意見を求めなければならないと規定され、また、同条第二項では、総務大臣は、このうちの重要なものについて意見を述べようとするときは、地方財政審議会の意見を聴かなければならないと規定されている。これらの規定に基づき、総務大臣は「平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案」の閣議決定に当たって意見を求められたのか。求められたのであれば、どのような意見を述べたのか。その際、総務大臣は地方財政審議会の意見を聴いたのか。それぞれ明らかにされたい。
 また、平成二十三年度の子ども手当についても、平成二十二年度と同様に地方負担を前提とした制度となっているが、総務大臣は「平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する法律案」の閣議決定に当たって意見を求められたのか。求められたのであれば、どのような意見を述べたのか。その際、総務大臣は地方財政審議会の意見を聴いたのか。それぞれ明らかにされたい。

三 神奈川県意見書にあるように、「現金給付の負担は国、現物給付の負担は地方」という考え方は、保育所整備から小児医療費助成まで現物給付のニーズは地域により差異があることから妥当だと考えられるが、菅内閣の見解を明らかにされたい。

四 平成二十三年度の子ども手当について、仮に、地方負担を求めず、同年度予算案に計上した国費だけで実施した場合、その毎月の給付額は、おおよそいくらとなるか。三歳未満と三歳以上とに分けて、それぞれ積算根拠とともに明らかにされたい。もし、概数ですら明らかにできない場合には、その理由を国民にわかるよう明確に説明されたい。

五 菅内閣は「平成二十三年度における子ども手当の支給等に関する法律案が本年三月末までに成立しなければ、支給を担当する市町村の現場で混乱が生じる」としているが、具体的にどのような「混乱」が生じるのか。子ども手当の制度的基盤であり、かつ、時限的制度ではない「児童手当」との関係を含め明らかにされたい。

  右質問する。