質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一八号

結核の感染を防ぐための日本人援助要員に対するクォンティフェロン検査に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年一月二十四日

浜田 昌良   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   結核の感染を防ぐための日本人援助要員に対するクォンティフェロン検査に関する質問主意書

 現在、海外、特にハイチやアフガニスタンなどの結核高蔓延国(二十二か国。ハイチは有病率など人口対率は高いが総人口が小さいので、高蔓延国(高負担国)には含まれない)での復興支援に派遣される日本のJICA国際緊急援助隊、自衛隊の人員は年々増加しており、その数は最近五年間で、それぞれ約四百十九人、三千二百五十一人となっている。また、民間NGOからも多数の人員が同地域に派遣され、活動していると承知している。
 結核は、空気感染し、不十分な居住環境、栄養不良などの悪条件が重なることで急速に蔓延するため、当該地域の被災者だけでなく日本人援助要員にも感染する可能性があり、その帰国後、日本国内で発病することも懸念される。例えば、平成二十二年四月九日付けの毎日新聞夕刊では、首都圏などを管轄する陸上自衛隊東部方面隊の六つの駐屯地で平成二十一年九月以降、十人の隊員が結核に集団感染し発病に至ったと報道されている。また、この事例では血液検査の陽性者(感染者)が八十四人おり、これらの中から今後も発病者がでる可能性が指摘されている。
 結核に対しては、簡便で正確な診断方法としてクォンティフェロン検査が挙げられる。前述のような状況に対応するためには、結核高蔓延国での復興支援に派遣される日本人援助要員全員に対し、制度としてクォンティフェロン検査・治療を義務づけることが望ましいと考える。
 クォンティフェロン検査の導入については、平成二十二年二月十日に、超党派議員連盟のストップ結核パートナーシップ推進議員連盟(浜田昌良=事務局長)が、外務省の西村智奈美大臣政務官(当時)に対して、「ハイチ地震に伴う日本の結核対策支援に関する要望」を申し入れている。また、平成二十二年五月二十六日には、NGO日本リザルツが、岡田克也外務大臣(当時)に対して、「日本人の援助要員には、結核蔓延地域で活動するときは、結核感染対策として、協力開始時点(現地へ入る前)および終了後(現地を離れて)二ヶ月時点でクォンティフェロン検査を受けさせること」を要望している。
 そこで、以下質問する。

一 これまでに結核高蔓延国に派遣されたJICA国際緊急援助隊、自衛隊の人員が、同地域で結核に罹患した例はどれくらいあるのか。その件数等、状況を明らかにされたい。

二 結核高蔓延国に派遣されるJICA国際緊急援助隊、自衛隊の人員に対する、政府の感染予防対策の状況を明らかにされたい。

三 政府は、民間NGOの日本人援助要員が結核高蔓延国において支援活動を行っている状況を把握しているか。また、当該援助要員が結核に罹患した例はどれくらいあるのか明らかにされたい。

四 これまで海外での復興支援活動において、日本人援助要員に対してクォンティフェロン検査が行われた例はどれくらいあるのか。JICA国際緊急援助隊、自衛隊、民間NGOそれぞれについて、具体的に明らかにされたい。

五 平成二十二年二月十日にストップ結核パートナーシップ推進議員連盟が要望したとおり、日本人援助要員に対して、クォンティフェロン検査を実施する必要があると考えるが、その後の政府の方針、取組について明らかにされたい。また、政府が未だに実施していないのであれば、何故実施していないのか明らかにされたい。

  右質問する。