質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二号

脱北者の定着支援に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年一月二十四日

浜 田 和 幸   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   脱北者の定着支援に関する質問主意書

 近年、政治的自由を求める等の理由から、北朝鮮から脱出する者(いわゆる「脱北者」)が増加している。そして、脱北者の一部は我が国に入国、在留している。
 現在、主に非政府組織、民間の篤志家等が、主に我が国に在住する脱北者に対する定着支援を担っているところ、脱北者の定着に必要な支援の範囲は非政府組織ないし篤志家だけで担える範囲を超えており、このままでは定着支援が持続できない可能性がある。
 他方、政府による脱北者の支援としては生活保護が挙げられるが、脱北者が我が国の社会に適応できず、結果として生活保護に依存してしまうケースが見られる。
 そこで以下のとおり質問する。

一 北朝鮮の社会と我が国の民主主義社会との体制の違いが大きいため、我が国に在留する脱北者には民主主義社会における生活上の規範を習得してもらう必要性が高い。また、脱北者の我が国社会への定着を実現するためには、脱北者が日本語及び職を得るために必要なスキルを習得することが不可欠と思料される。この点、韓国では、脱北者を「ハナ院」という施設に一定期間受け入れ、韓国社会への定着支援を政府レベルで行っている。我が国において、日本語教育、職業訓練、民主主義社会における生活上の規範等を脱北者に習得させるため、「日本版ハナ院」ともいうべき定着支援施設を設立する考えはあるのか。政府の見解を示されたい。

二 脱北者に対する生活保護には支給期間の限定がないため、脱北者の勤労意欲が減退する原因となっていると思料される。定着支援施設の設立ないし職業訓練等を通じた就労支援を導入しつつ、就労年齢に達している脱北者への生活保護支給を一定期間に限定する考えはあるのか。政府の見解を示されたい。

三 現在、高齢者ないし障害者を雇用した事業主に対し、雇用促進の見地から助成金が支給されることがある。脱北者を雇用した事業主に対し、雇用促進の見地から助成金を支給する考えはあるのか。政府の見解を示されたい。

四 脱北者は、我が国に入国後、住居を自力で確保できないため、住居の確保、敷金及び礼金の支払、生活保護支給が始まるまでの当面の生活費等を脱北者支援の団体又は篤志家に依存している。脱北者を我が国入国直後に定着支援施設に入所させない場合、住居の確保及び当面の生活費について政府が脱北者を支援する考えはあるのか。政府の見解を示されたい。

五 脱北者が定住者としての在留資格を得た場合には国民健康保険に加入できるが、脱北者は我が国に入国してからすぐにかかる資格を得られるわけではなく、入国後一定期間は無保険状態となる。難民認定を受ける前の難民申請者にも同様の問題があるが、かかる脱北者ないし難民申請者に対する医療費の公的支援制度を導入する考えはあるのか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。