質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一八六号

内閣参質一七六第一八六号
  平成二十二年十二月十四日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員秋野公造君提出職業訓練事業のあり方と若年者雇用対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員秋野公造君提出職業訓練事業のあり方と若年者雇用対策に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、厳しい雇用失業情勢が続く中、雇用のセーフティネットとしての職業訓練、今後成長が見込まれる分野における職業訓練及び国際競争力の強化等に資するものづくり支援の一環としての職業訓練は、特に重要であると認識しており、これらの職業訓練について、一層の充実を図ってまいりたい。

二について

 総務省の「労働力調査」によると、四十五歳から五十四歳までの者であって、一年以上完全失業の状態にある者(以下「中高年長期失業者」という。)の数は、平成十九年四月から六月までの期間が九万人、平成二十二年四月から六月までの期間が十七万人となっており、すう勢としても増加傾向にあるが、中高年長期失業者の一年以上完全失業の状態にある者に占める割合は、平成十九年四月から六月までの期間が十一・七パーセント、平成二十二年四月から六月までの期間が十四・四パーセントとなっているものの、すう勢としてはほぼ横ばいであると認識している。
 なお、中高年長期失業者の増加傾向は、厳しい雇用失業情勢を反映しているものと考える。
 また、厚生労働省としては、「新成長戦略」(平成二十二年六月十八日閣議決定)において「「第二セーフティネット」の整備(求職者支援制度の創設等)や雇用保険制度の機能強化に取り組む」こととしていること等を踏まえ、御指摘の緊急人材育成支援事業を恒久化すること等を内容とする求職者支援制度を創設することとしており、現在、労働政策審議会において、制度の具体的な内容について検討を行っているところである。
 厚生労働省としては、その検討結果を踏まえ、平成二十三年通常国会に所要の法律案を提出することを目指してまいりたい。

三の1について

 お尋ねについては、経済・雇用情勢の変化等により異なってくるものであることから、一概にお答えすることは困難であるが、厚生労働省のナショナルミニマム研究会において平成二十二年六月十八日に取りまとめられた中間報告においては、十八歳の高卒男女が「二年間集中的に職業訓練を受けその後六十四歳まで就労し続けた場合」と「職業訓練を受けずに六十四歳まで生活保護を受給し続けた場合」の国及び地方公共団体等の財政に与える影響についての推計がなされており、同推計によると経済前提や男女により違いがあるものの、男性が二年間職業訓練を受けた後、正規雇用されて六十四歳まで就労し続けた場合と、男性が職業訓練を受けずに六十四歳まで生活保護を受給し続けた場合とでは、財政に与える影響に最大一億円を超える差が出ることが示されている。

三の2について

 政府としては、若年者の就職環境は非常に厳しいものと認識しており、「新成長戦略実現に向けた三段構えの経済対策」(平成二十二年九月十日閣議決定)及び「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」(平成二十二年十月八日閣議決定)に基づき、若年者に係る雇用対策関係予算の拡大を図ったところであり、今後とも、若年者に係る雇用対策の取組を進めてまいりたい。

三の3について

 厚生労働省としては、求職者のニーズに応じた職業訓練プログラムを策定することは重要であると認識しており、都道府県労働局、都道府県、労使団体等から構成される地域訓練協議会の場などを通じ、若年者を含む求職者や事業主のニーズを把握した上で、必要に応じ、職業訓練プログラムを見直してまいりたい。

三の4について

 御指摘の「若者自立塾事業」については、平成二十一年十一月に実施した行政刷新会議ワーキンググループによる事業仕分けの評価結果を踏まえて廃止したが、ニート等の若者の自立支援、ひいては就職の実現を図ることは重要な課題であると認識しており、平成二十二年度の措置として、新たに、緊急人材育成支援事業において「合宿型若者自立プログラム」を設定し、「若者自立塾事業」の対象としていたニート等の若者に対する生活指導、企業実習等の職業訓練を実施しているところである。同年度以降の支援の在り方については、今後、検討してまいりたい。

三の5について

 政府としては、ジョブ・カード制度については、「新成長戦略」に基づき、より効率的・効果的な枠組みに発展させていく方向で検討してまいりたい。

三の6について

 厚生労働省としては、医療・介護、情報通信など成長が見込まれる分野の労働力を確保することは重要であると考えており、これらの分野における人材育成が図られるよう、公共職業訓練の充実に努めてまいりたい。