質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一六四号

内閣参質一七六第一六四号
  平成二十二年十二月十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員中西健治君提出自転車利用の促進に向けての環境整備に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員中西健治君提出自転車利用の促進に向けての環境整備に関する再質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの「自動車利用者数」及び「自転車利用者数」については、把握していない。

一の2について

 警察庁の統計によれば、平成二十一年中における自動車(原動機付自転車及び重被牽引車を含む。)の道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)違反の総取締り件数は、千二百六十六万四千八百五十件である。

一の3について

 「自動車利用者数」及び「自転車利用者数」を把握していないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
 いずれにせよ、自転車利用者の道路交通法違反に対しては、基本的には指導警告を行うことで対応し、違反行為により通行車両や歩行者に具体的危険を生じさせたり、指導警告に従わず違反行為を継続したりするなど悪質、危険な交通違反に対してのみ検挙措置を講じており、自動車利用者の道路交通法違反に対する取締りとは取締り方針が異なることから、それぞれの違反に対する取締り件数について単純に比較することはできないものと考える。

一の4について

 自転車利用者に対する道路交通法違反の取締り件数については、年齢階層別の統計をとっていないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、平成二十一年中における自転車利用者に対する道路交通法違反の総取締り件数のうち、十四歳以上二十歳未満の少年による違反の取締り件数は五百五十一件となっている。

二について

 お尋ねの数については、網羅的には把握していないが、例えば、損害保険料率算出機構に報告のあった保険会社の保険について同機構が集計したデータによると、自転車の交通事故により被保険者が損害賠償の責任を負うことによって生ずることのある損害を填補する保険の契約で平成二十一年度に締結されたものに係る被保険者数は、十七万七百三十人となっている。また、自転車の交通事故により被保険者が損害賠償の責任を負い又は傷害を負うことによって生ずることのある損害を、自転車単位で填補する保険として、財団法人日本交通管理技術協会が保険契約者となり、同協会発行のTSマークが貼付された自転車の搭乗者が被保険者となる共同保険があり、この共同保険を取り扱う現在の幹事会社である三井住友海上火災保険株式会社によると、平成二十一年度に取り扱うこととなった当該保険の対象となる自転車の台数は、百三十五万九千九百八十七台とのことである。

三について

 保険会社が取り扱っている、自転車の交通事故により被保険者が損害賠償の責任を負い又は傷害を負うことによって生ずることのある損害を填補する保険の保険料率については、警察庁が公表している「交通事故統計年報」における自転車の交通事故に関する統計や、財団法人自転車産業振興協会が公表している「自転車統計要覧」における自転車の推計保有台数等のデータを参考にして、算出されているものと承知している。
 他方、自動車損害賠償責任保険のように、その契約の締結が義務付けられる保険においては、保険料率を能率的な経営の下における適正な原価を償う範囲内でできる限り低いものとすることが必要とされているところ、保険会社が参考にしているデータでは、現に利用されている自転車の台数を正確に把握するには不十分であり、適切な保険料率を算出することは困難であると考えている。

四の1について

 自転車乗用者が第一当事者又は第二当事者であった交通事故(人の死傷が伴うものに限る。)の発生件数は、平成十七年以降減少しており、平成二十一年中は十五万六千三百七十三件であったが、これは、平成十六年と比較して三万千六百七件の減少となっている。
 政府としては、自転車の交通秩序の整序化に向け、先の答弁書(平成二十二年十一月十九日内閣参質一七六第九〇号)一及び二についてで述べたような各種の対策を引き続き推進してまいりたい。

四の2及び3について

 政府としては、お尋ねの「円滑な損害賠償」に資する取組として、例えば、第八次交通安全基本計画(平成十八年三月十四日中央交通安全対策会議決定)において、「地方公共団体における交通事故相談所等を活用し、地域における交通事故相談活動を推進する」とともに、「自転車事故による被害者の救済に資するため各種保険の普及に努める」こととしている。