質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一六〇号

内閣参質一七六第一六〇号
  平成二十二年十二月十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員佐藤正久君提出防衛事務次官通達「隊員の政治的中立性の確保について」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員佐藤正久君提出防衛事務次官通達「隊員の政治的中立性の確保について」に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の事務次官通達「隊員の政治的中立性の確保について」(以下「本通達」という。)は、防衛省・自衛隊の施設を管理する部隊又は機関の長等である隊員(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二条第五項に規定する隊員をいう。以下同じ。)に対し、当該隊員が自衛隊法第六十一条第一項の規定により禁止されている政治的行為を行ったとの誤解を招くようなことのないよう、当該隊員自らが留意すべきことを示したものであって、一般の国民の行為を規制しようとするものではなく、また、通達という性質上、一般の国民の行為を規制する効力を有しないことは当然である。さらに、本通達で示された隊員の対応については、あくまで本通達の趣旨・目的の範囲内で行い、いやしくも一般の国民の行為を規制しようとするものとの疑念を生じさせることがないようにすることとしており、問題はないと考えている。

二について

 隊員の行為が、自衛隊法第六十一条第一項の規定により禁止されている政治的行為に該当するか否かについては、事案に即して個別具体的に判断すべきものであるが、お尋ねの「政治的目的が存在しない自衛隊協力団体等の会合に参加し、他者が政治的発言を行い、そこに同席していた」ことは、そのことのみをもって直ちに当該政治的行為に該当するものとは考えられない。

三について

 防衛省としては、御指摘の行事に参集した多数の人々の前で、御指摘の者により、一刻も早く菅政権を打倒して自民党政権にしなければならない旨の発言が行われたことは、当該行事の会場となった自衛隊の施設を管理する立場にある隊員が政治的目的をもって当該発言者にそのような発言をさせるために施設の利用を容認したとの誤解を招くおそれのある事態であったと考えており、これを受けて本通達の発出に至ったものである。